8. 行政不服審査法による審査請求(2014.03.17)New!

 高校の2014年1月20日付けの回答によって、特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代ならびにPTA会費、体育文化振興会費の返還を拒否する処分が決まりました。ただ、この回答では高文連・高体連会費について触れられていませんでした。

 そこで改めて2014年3月14日に高校に対して確認することにしました。対応に出た教頭Bから、高文連・高体連会費についても返還を拒否することが確認できました。では、高文連・高体連会費は一体誰が徴収しているのか、高校なのかPTAなのかを問うたところ、教頭Bはわからないので確認して返答するということでした。これは驚くべきことです(笑)、高校の会計事務とPTAの会計事務の境目は事実上存在していないということです。実にふざけた話です。

 この問題に対する高校の処分が確定したので、この処分に対する審査請求を行うことにしました。提出した審査請求書を示します。

 

9. PTAは県立高校のマネーロンダリング装置(2014.03.23)New!

 県立高校において就学するために高校ないし大分県に直接支払わなくてはならない必須の金員は入学金と授業料の2費目のみです。

 現状の日本の教育環境においては、前記の必須の費用の他に、生徒ないし保護者が負担しなければならない費用には、教科書代、教材費、その他学校教育に必要で生徒個人の所有となる物品に対する費用があります。これらは、県立高校や大分県に支払う費用ではなく、生徒ないし保護者がこれらの物品の購入に支払う費用です。

 その他に、学校教育のために必須と言えるかどうかには疑問が残りますが、修学旅行代、卒業アルバム代などが生徒ないし保護者の負担とされています。

 以上の費用は、多少問題があるものの、理解は出来るものです。しかし現在の大分県の県立高校では、そして全国の多くの公立高校では不法な方法で保護者ないしPTA会員から様々な名目で金員が徴収されています。代表的なものを以下に示します。

分類 費目 徴収主体 徴収事務 支払義務 備考
学校関係団体費 PTA会費
620円/月
PTA 高校 PTA会員のみ
体育文化振興会費
1200円/月
体育文化振興会 高校 PTA(体育文化振興会)の名前で徴収して、高校が使用する

3100円/月=37200円/年
学校援助的経費 特別指導費
350円/月
PTA 高校
空調電気代
350円/月
PTA 高校
朝・土曜講座代
1200円/月
PTA 高校
学校
取扱金
高体連会費
1000円/年
高校 高校  
高文連会費
800円/年
高校 高校  

 学校関係団体費PTA会費・体育文化振興会費は、適切な加入手続きを経たPTA会員あるいは体育文化振興会会員から徴収するのは正当です。
 しかしながら、現在の大分県の県立高校における
PTA会員、体育文化振興会会員の自動加入=強制加入手続きは消費者契約法に違反するもので無効です。また、PTA、体育文化振興会は任意団体なのでいつでも退会することが出来ます。

 PTAが会費以外に徴収する費目は学校援助的経費と呼ばれ、学校の運営経費を補填するために使われています。学校教育法において、学校の運営経費は、本来、県立高校の設置者である大分県が支弁するものであって、保護者に転嫁してはならない費目です。また、地方財政法から、県立高校の運営経費に使う目的でこれを割り当てて強制的に徴収することは禁止されています。従って、学校援助的経費がPTAによって予算化され、PTA総会で承認されたとしても、これをPTA会員に割り当てて強制的に徴収することは不法であり、PTA会員には支払う義務はありません。あくまでも自由意志で支払いたいPTA会員が支払えばよいのです。 

 高体連会費、高文連会費は保護者に支払義務はなく、高体連・高文連の意義に賛同して自由意志で支払いたい保護者が支払えばよいものです。 

 私は、大分県と県立高校に抗議する意味で、表に示した費目すべての支払を拒否していますが、県立高校、大分県教育庁からは一切の支払いの督促はありません。
 

 PTAの組織運営及び学校援助的経費の徴収と予算執行は出鱈目と言わなければなりません。
 本来、
PTA社会教育法において社会教育関係団体に分類される県立高校とは独立の任意団体です。PTAの運営に対して、地方公共団体=県立高校管理職・教職員が統制的支配や干渉することは、社会教育法に違反する行為です。

 大分県のPTAでは県立高校の校長をはじめとする管理職がPTAの重要な役員ポストを兼務しています。しかも、PTA副会長に就いた校長は、PTAの会計の全権を委任されています。実質的にPTAは県立高校の統制下にあります。PTA会費、体育文化振興会費、学校援助的経費の全ての徴収、そして予算の執行権を県立高校の校長が持っており、校長のもとで高校が事務処理を行っています。

 体育文化振興会は実質的にPTAと同一組織ですので、体育文化振興会費もPTA会計に含めて論じることにします。
 PTAの会計の内、PTAの事業経費に使われるのはPTA会費だけです。体育文化振興会費、学校援助的経費(特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代)は全て県立高校ないし部活動の運営経費として使われます。
 これらの予算は、実際に県立高校の運営に携わっている校長・教頭・事務長など県立高校管理職であるPTA役員の主導によって編成されています。しかも、PTAの会計の事務処理の一切は執行権を持つPTA副会長である校長を介して県立高校に丸投げされています。
 つまり、
体育文化振興会費、学校援助的経費は、その予算編成から徴収、執行の全てを校長ないし県立高校が行っています。本来ならばPTAを介在させる必然性は存在しません。

 これらの費目を敢えてPTAの会計という形をとる意味は、学校教育法地方財政法上、県立高校が入学金・授業料以外の費目で県立高校の運営経費を生徒ないし保護者に転嫁することが難しいため、「形式的」に県立高校とは独立の任意団体であるPTAという組織の名義を使って金の流れを迂回させて『マネーロンダリング』を行うためです。
 つまり、
PTAとは県立高校の保護者に対する不当な資金徴収のためのトンネルあるいはダミー組織であり、県立高校の集金装置なのです。
 こうして高校が保護者から不法・不正に徴収した資金の総額は、娘の高校の生徒数を800人とするとその総額は、

37200円/年・人×800人=29,760,000円/年

年間、概ね3000万円にも上るのです。

 現在、高校が私から不法に徴収した学校援助的経費などの返還を求めています。また、上級庁である大分県教育庁に対して、高校に対して返還に応じるように指導するように求めています。2014年3月1日付の私の申入れに対する大分県教育庁高校教育課からの回答を次に示しておきます。

 不法・不当な徴収の責任が問われても、高校や大分県に責任が及ばないように考えだしたマネーロンダリングの筋書き通りの、実にご都合主義の回答です。
 PTAの学校援助的経費などの判断は、実質的にはPTAの予算執行権をもち、学校援助的経費等について主導的に予算編成に携わっている校長をはじめとする県立高校の判断そのものです。このように、PTA・県立高校・大分県教育庁が一体となって責任の所在をあいまいにして保護者を騙し、不正を行っているのです。

 しかし、この大分県教育庁高校教育課高畑課長の回答は話しになりません。私が大分県教育庁に対して提出した2014年2月13日付けの申入書に書いた通り、PTAがPTA会員から学校援助的経費の徴収を行うこととは関わりのない高校の詐欺行為を問題にしているのです。
 私は、2012年度末にPTAを退会しています。その段階でPTAともPTAの徴収している学校援助的経費の支払いとも無関係です。
 今問題にしているのは、2013年度に高校が、学校援助的経費の徴収主体をPTAではなく高校だとして、私から半年間にわたって金員を詐取し、着服した問題です。
 PTAは高校に対して、PTA会員からの学校援助的経費の徴収事務を委託しているのであって、PTA会員ではない私からの徴収を依頼することはあり得ないのです。すなわち、4月以降に関してはPTAの高校に対する会計事務の委託とは関わりはなく、高校自身の判断で私から学校援助的経費を徴収して着服したということです。この行為に対してPTAは無関係です。
 仮に高校の行為が故意に騙すつもりはなかったのだとしても、徴収する必要のない私から誤って徴収したのであって、高校の責任として誤徴収した金員は返金すべきものです。

 

10. 公立高校の土曜授業の解禁(2014.04.14)New!

 おそらく平成14年(2002年)に公立高校における完全週5日制が導入された直後から、減少した授業時間を補填するために、多くの公立高校において、早朝講座や土曜講座などの高校教育課程の枠外の補習講義が始まったであろうと考えられます。
 公立高校における授業時間が減少したこと、それに伴う教育の質の変化等も重要な問題ですが、ここではとりあえずこうした問題には触れず、制度的な問題について焦点を絞って話を進めることにします。

 さて、ここで問題になったのが、公立高校の教育課程の外で行われる補習講義を誰が担うかということです。これは現実的には公立高校の施設を使って公立高校の教職員が講師を務める以外にありません。問題は、教育公務員である教師に対して、定期的に行われる時間外勤務を行わせることが法的に禁止されていることでした。

『公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年12月3日政令第484号)』

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
(以下『法』という。) 第6条第1項 同条第3項 において準用する場合を含む。)の政令で定める基準は、次のとおりとする。
(1)  教育職員( 法第6条第1項 に規定する教育職員をいう。次号において同じ。)については、正規の勤務時間( 同項 に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務(正規の勤務時間を超えて勤務することをいい、 同条第3項 各号に掲げる日において正規の勤務時間中に勤務することを含む。次号において同じ。)を命じないものとすること。
(2)  教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ  校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ  修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ  職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ  非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 そこで苦肉の策として考え出されたのが、形式的に公立高校ではなく、社会教育関係団体であるPTAの主催で学校施設を使用して、PTA会員である教師が講師を務めるという形だったものと思われます。

 この補習講義の講師である公立高校の教師たちが、PTA会員としてボランティアで補習講義を行うのか、あるいはPTAから報酬を得てアルバイトとして講師を務めるのかという2つの形態が考えられます。教師がPTA会員としてボランティアで行える範囲で無償で補習講義を行うのであれば、制度上の問題はありません。
 しかし、実際には多くの公立高校において課外の補習講義を行う教師は、PTA会費ないしPTAからの寄附金に類する資金にから『謝礼金』という名目で給与を受け取り、アルバイトとして補習講義を行っています。

 この問題が顕在化したのが、2012年3月9日、自民党の義家弘介参議院議員が沖縄県で行われている課外の補習講義の実態を国会質問で暴露したことによります。この義家議員の質問は、反日教組の立場から、課外の補習授業の講師を行う教師が、@公務員の兼務許可を得ずにAPTA会費からの流用、という不正行為を行ってきたことを告発することに主眼があったものと思われます。
 私の日教組に対する立場は義家議員とは全く異なりますが、それでも彼の指摘した問題は重大であり、彼の行動は評価します。

 自民党議員の発言であったために、官僚の対応は早く、文部科学省は5月9日には「学校関係団体が実施する事業に関わる兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての留意事項等について(通知)。」を出しました。

更に、文部科学省は全国の教育委員会に対して調査を実施し、2012年12月に結果を公表しました。

 補習講義の講師謝礼金の調査結果において、大分県は含まれていません。この調査は、あくまでも公務員の兼業の許可を得ずに『不正』に謝礼金を受け取った事例をまとめた報告です。大分県についても謝礼金を受け取っていますが、大分県教育庁高校教育課高畑課長は教育公務員特例法第17条に従って適切に処置しているので問題無いと回答しました。

教育公務員特例法
(昭和二十四年一月十二日法律第一号)
最終改正:平成二四年八月二二日法律第六七号

第三章 服務

(兼職及び他の事業等の従事)
第十七条 教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項 に規定する県費負担教職員については、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会。第二十三条第二項及び第二十四条第二項において同じ。)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。
 前項の場合においては、地方公務員法第三十八条第二項 の規定により人事委員会が定める許可の基準によることを要しない。

 しかし、大分県教育庁が主張するように兼業の届出さえしておけば本当に問題ないのでしょうか?

 2012年12月の文部科学省の調査報告の2ページ目の枠外の赤線で示した記述は重要です。

学校の管理経費(職員の人件費は除く)については、割り当てて強制的に徴収するのではなく、PTA等学校関係団体等が真に任意に経費の支援を行うことは禁止されていない。

 これは、地方財政法の規定を述べたものと考えられます。

地方財政法
(昭和二十三年七月七日法律第百九号)

(割当的寄附金等の禁止)
第四条の5
国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条 に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

(都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三
 都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。

 大分県の県立高校では、本来参加自由の任意団体であるはずのPTAを強制加入の組織であるように装って、全保護者をPTAに囲い込み、金融機関の口座からの引き落とし=強制的にPTA会費やその他寄附金を徴収しているのが実情です。その結果、保護者自身が気付いて訴えない限り、本来なら支払う必要のない寄附金を入学金や授業料に上乗せして支払うことを求められ、実質的に県立高校に支払う費用が数倍になっているのです。
 文部科学省の調査報告の欄外の記述が示す通り、特別指導費、空調電気代などは支払いの任意性が担保されている場合に限って禁止されていないのであって、強制徴収は違法なのです。また、カッコ書きで書かれている『職員の人件費は除く』からみて、任意の寄附金であっても人件費を徴収することは許されないと解釈すべきです。つまり、たとえ任意であったとしても朝講座・土曜講座代を寄附金として徴収することは許されないのです。

 

 これまで見てきたように、完全週休5日制の下で土曜講座などの課外授業を正当化するためには制度的に根本的に無理があることは否めません。そこで、文部科学省は公立高校の現状を追認する形で、2013年11月29日に学校教育法施行規則を一部見直しを行うことになりました。

具体的には次のような内容になります。

 この規則の改正によって、地方公共団体の教育委員会が必要と認めれば、土曜日に高校教育課程内の正規の授業を行うことが可能となりました。大分県では、2014年度4月から、高校からの要望があれば土曜日に講義を行うことを認めることにしました。新聞報道を次に紹介します。

 新聞報道にある、県高校教職員組合の批判は解せません。則松佳子書記長の発言をそのまま受け止めれば、これまで大分県の県立高校では土曜日に補習講義が行われていなかった、あるいは土曜講座は外部講師が行っていたということになります。
 しかし、私の娘の通う県立高校を含めて、実際には大分県下の多くの県立高校では土曜日に補習講義が行われ、講師は高校の教師が努めています。このような現実とはかけ離れたコメントが出ることに不信感が拭えません。

 

(続く)


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