1. PTA退会まで

 2012年4月に娘が大分県の県立高校に入学しました。私自身はそれまで小学校、中学校ではほとんどPTAに関わっていませんでした。高校でも、教科書問題が起こるまではPTAについて深く考えることはありませんでした。ごく普通に、高校に入れば保護者はPTAに入って何らかの義務的な仕事を押し付けられる程度と考えていました。今にして思えば、もっとPTAという組織について厳密に考えておくべきだったと後悔しています。

 PTAという組織が、高校とは独立の任意団体であるという最も基本的な情報さえ、一般にはあまり知られていないのが現状です。それは無理もないことで、高校やPTAからそのような明確な説明は行われません。むしろ、PTAは高校という組織の一部分を構成しているように、敢えて保護者に錯誤を与える仕掛けが随所に仕組まれているからです。

 例えば、高校からの集金の連絡案内の印刷物を紹介します。

 この印刷物を見て、当時は何も疑問を持ちませんでした。しかし、この印刷物には、高校が徴収する費目と同時に、生徒会、PTA、体育文化振興会という学校関係団体が徴収する費目が混在しているのです(※生徒会の位置づけはよくわかりません。)。厳密にはそれぞれの組織が個別に徴収すべきものです。少なくとも、高校が直接徴収する費目と、学校関係団体の徴収する費目は分けなければなりません。
 これは、大分県教育委員会による『私費会計取扱要領』89頁に「学校関係団体費事務と公務の混同」として挙げられている「PTA等の契約や支払い、収入に関する書類が校長名義であるもの」に該当するものであって、保護者に対してこれらの費目が高校に直接支払い義務のある費用なのか、学校関係団体に支払う任意支払いの費目なのかの混乱を敢えて引き起こしています。

 それだけではありません。PTAは組織名を詐称しているのです。高校のPTAの正式名称は、規約において次のように定められています。

第1章 総則

第1条「名称」
 この会は大分県立____高等学校PTAと称し、事務局を大分県立____高等学校におく。

 ところが配布された印刷物では徴収主体の名称及び代表者を次のように表現しています。

大分県立____高等学校
PTA会長 --------
校    長 ====

この表現では、徴収主体は大分県立____高等学校であり、その代表者二名の役職がPTA会長と校長であると理解します。これは名称の詐称です。
 PTAは高校とは独立の任意団体であって、PTAの正式名称はPTA規約第1条に定められた通り『大分県立____高等学校PTA』であり、その代表者の役職は同規約第5条「役員」において『会長』だと定められています。正しくは次のようにしなければなりません。

大分県立____高等学校PTA
会    長 --------

大分県立____高等学校
校    長 ====

 こうした小さな仕掛けの積み重ねで、PTAが学校内部の組織であるように装い、すべての保護者が加入しなければならないという錯誤を起こすように、高校とPTAが結託して、積極的に行動しているのです。

 こうしたPTAの不正や不法行為について、大分県教育委員会はPTAは任意団体であって干渉することは出来ないといいますが、それは理論的に破綻しています。この印刷物で分かるように、また、PTA規約第22条によって、PTA関係の集金事務の全権は高校の校長に委任されており、実際の事務は高校の事務長が行っているのです。こうした集金事務の委託契約があるとき、法的には委託された事務を行う高校にもPTAと同様の責任が生じるのです(消費者契約法第五条)。
 更にPTA規約第5条において、高校の校長はPTAの副会長、教頭は学校理事、事務長は会計としてPTAの主要な役職を兼務しており、PTAの活動に対する高校の責任は大きく、大分県教育委員会は『私費会計取扱要領』3頁の「T総論 6 県教育委員会による指導」に従って、学校三役に対して適切な指導を行う義務があります。

 さて、第1部で報告したように、高校の教科書・補助教材の記述の誤りに対する高校の管理職・教員の不誠実で無責任な対応を、PTA総会の議題にしたいと二度申し入れを行いました。一度目は2012年の5月でしたが、総会が近くて、既に日程が決まっており十分な時間が取れないからという婉曲な理由で却下されました。そこで二度目は2012年3月、PTA総会の数カ月前に申し入れたにもかかわらず、対応したPTAの役員である教頭Aは申し入れを長期間放置した挙句、何の対応もしませんでした。
 結局、日常的なPTAの運営の実権を握っているのは高校の管理職であり、高校にとって都合の悪い議題は金輪際PTAの場で話し合われることはないのです。

 ここに至って、最早PTAに加入していることに何の意味もないことが分かりましたので、PTAを退会する旨を教頭Aに通告しました。退会するにあたって、これまでPTA関連で支払ってきた徴収金の費目を教えるように求めました。教頭Aは「PTA会費」と「体育文化振興会費」の2費目だけだと説明し、何も知らない私は、疑うこともなくこれを了承してしまいました。
 
また、PTAを退会することによって、高校の教育において、娘と保護者である私にいかなる不利益がないことも念を押して確認しました。

 ところが、この教頭Aの説明は全く虚偽であったのです。

2. 高校の出鱈目な会計

 年度が変わって初めて受け取った「学校納入金」の案内文章を示しておきます。

 PTAを退会したおかげで、学校に支払う諸費用の払込は、私だけは現金で支払うことになりました。そのおかげで、費目についてじっくり検討することが出来るようになりました。しかし、それでも大きな間違いがありました。年度末の教頭Aの説明から、請求されている費目は全て高校が直接徴収する保護者に支払い義務のある費目だと信じてしまったことです。私は何の疑いもなくこの請求金額をそのまま支払ってしまいました。

 しかし後でわかったことですが、実際には特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代、スポーツ振興センター共済掛金の全てがPTAの徴収する学校関係団体費であり、高校が徴収する費目はなかったのです。
 特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代は、PTAで予算化され、会計処理されているPTAの徴収する寄附金です。そしてスポーツ振興センター共済掛金は、保護者からの委任で集金・支払事務をPTAで行うものと大分県教育委員会『私費会計取扱要領』87頁で説明されています。私はスポーツ振興センター共済掛金についてPTAに委任した記憶はないのですが…。

 つまり、この支払の案内に掲載された全ての費目はPTAが徴収主体であり、会長名で案内すべきものだったのです。これを高校が徴収主体であり、代表者が校長としているのですから、これは完全な詐欺行為であり、私はこれらの費目を詐取されたのです。

 更に5月分の学校納入金についての案内では、高文連会費・高体連会費という費目が計上されていました。高文連とは高校の文化系の部活動の支援団体であり、高体連とは高校の体育系の部活動の支援団体です。私の娘は部活動には参加していませんので、なぜこういう費目の請求を受けるのか不明でした。そこで娘のクラス担任に次のような文章を提出しました。

 私はこうして2013年度分に関して、高文連・高体連の会費の支払は行いませんでした。

 おそらくこれまで、一体何年間続いていたのか調べる術はないのですが、長年にわたって高校は保護者に対して高文連・高体連会費は任意支払いの協力金であることを十分説明せずに、支払い意志の確認を行わないまま、授業料などを学校に支払う名目で開設させた口座から勝手に盗みとっていたのです。
 
しかし感覚の麻痺してしまった高校・教育委員会は事の重大性を全く認識していないようです。高文連・高体連会費は金額としては年間800円あるいは1,000円という少額です。しかし金額の多寡の問題ではありません。本人の支払い意志確認をせずに勝手に口座から金員を引き落とすことは窃盗、しかも計画的で組織的な重大犯罪だということを認識しなければなりません。

 私の抗議によって、2013年度はPTA総会において保護者に対して高文連・高体連会費についての支払い協力依頼の文書を配布し、事後承諾を得たということです。しかしこれは手続きが逆です。まず支払い協力の依頼を行い、次に支払いの諾否の確認を行い、支払いを承諾した保護者から徴収するという手続きを踏まなくてはならないのは当然です。

3. PTA会員ではない保護者は高校教育において差別される

 2013年5月に、高校から家庭訪問の案内を受け取りました。その案内にはPTA総会のことに触れられていたのですが、PTA総会の当日に合わせて進路説明会、学級懇談会などが行われることに触れられていました。
 私はPTAは退会していますが、生徒の保護者ですから進路説明会や学級懇談会には参加する権利があり、また学校は当然案内をすべきです。PTAの退会に際して、それによって何ら不利益は被らないということを教頭Aに確認したにもかかわらず、実際には差別され、学校の説明会から排除されたのです。担任に次の文章を提出し、抗議しました。

 この抗議によって、5月18日の進路説明会、学年PTA、学級懇談会に参加することが認められました。当日、学年PTAでは主に修学旅行につての説明が行われ、PTA活動に関する話は一切ありませんでした。
 そこで、学年PTAの席で「この会合(学年PTA)は高校が保護者に対して行うべき説明内容であって、PTAの会合ではないのではないですか?」と問題提起したのですが、教頭Aは「その件はまた別室で・・・」と回答をはぐらかし、参加者の多くは早く会合が終わることばかり考えている状況で話は深まりませんでした。

 引き続いて学級懇談会が行われたのですが、ここでの会合の内容は進路に関する担任からの説明と、保護者の自己紹介(?!笑)でした。折角なので、私はPTAを退会していることを紹介し、学年PTAや学級懇談会で配布された資料にPTAの名前が印刷されているが、内容は学校から保護者に対してする説明であり、PTAの名を冠するのはおかしいのではないかという問題提起をしましたが、ここでも訳知り顔のPTA会員が話を台無しにして、打ち切られました。

 この日の経験を元に、娘の担任に次の文書を提出しました。


 その後、6月22日の家庭訪問のおりに、娘の担任教師から2013年度のPTAの事業報告書と決算書を受け取りました。

4. PTAの事業報告書と決算書から見えてくるもの

 娘の担任から受け取ったPTAの2012年度の事業報告書と決算書に内容を検討することにします。

4-1 PTAの事業内容

 PTAの事業内容を見ると、大部分は毎年のルーチン的な事業なのだと思われます。取り立てて特筆すべき事業はありません。目につくものといえば、月1回程度開かれている人権学級と広報委員会の会合でしょうか。報告すべき事業がないにもかかわらず、広報委員会だけが頻繁に開催されるのは、硬直化した団体の特徴でしょう。とはいえ、仲良しクラブの自己満足的な任意団体の活動であれば何をやっても、またやらなくても勝手ですから、部外者がとやかく言う問題ではありません。しかし、このようなくだらない事業のためにPTA会費が使われているのは、会員としては見過ごせないと思うのですが…。
 ただ一つ、学年部の活動は、要するに学校から保護者に対する説明会にPTAが介入する活動であり、社会教育団体の活動範囲を逸脱した学校教育に対する介入であり、即刻中止すべきです。

4-2 PTA会費等「学校関係団体費」の決算書

 まず、PTA会費の決算書を見ると、PTA会費を支払った保護者の延べ人数は8,528人だということが分かります。これに対してPTAに加入している教職員会員の数は57人です。
 本来、PTAとは当該高校に生徒を通わす保護者と高校の教職員が対等な個人の資格で自発的に集まった民主的な任意団体だというのが建前です。保護者会員と教職員会員は対等の義務と権利を持つはずです。
 ところが、PTA会員の基本的な義務である会費の支払においてさえ、既に保護者会員と教職員会員は差別されていることが分かります。決算書から、教職員会員の年間PTA会費は3,000円です。これに対して保護者会員の年間PTA会費は620円/月×12月=7,440円です。

 支出についても、私ならば納得出来ない費目が多数ありますが、ここでは触れないことにしておきます。

 次に、生徒会・特別指導費決算書体育文化振興会費・空調設備維持会計決算書です。さて、体育文化振興会の規約では、紛失して今は確認ができないのですが、PTA会員を会員とするとあったように記憶しています。そのまま理解すれば、保護者会員も教職員会員も体育文化振興会の会員になるということになります。会員には会費を支払う義務があります。
 しかし、PTA会費以外の「学校関係団体費」は、体育文化振興会費を含めて保護者会員からだけ徴収されており、教職員会員は支払っていないのです。何とも差別的な会であり、これだけでも民主的な会とは到底言えないと考えます。

 さて、「PTA会費等納入金」や「学校納入金」の案内印刷物にあって決算書の存在しない費目があります。それが「朝講座・土曜講座代」です。これは、月額1,200円/人ですから、年間の総収入は、1,200円/人×8,528人=10,233,600円です。この年間1,000万円を超える収入に対する決算書がないとはどういうことなのでしょうか。

@体育文化振興会費

 高校における部活動について考えることにします。

 高校生が高校の正規の教育課程以外に、運動をしたり文化活動をしたいという欲求があることは理解できますし、勿論、良いことだと思います。高校の正規の教育課程の事業に支障をきたさない範囲(時間的、物理的、経済的にも)で、こうした生徒の欲求に対して学校施設を開放することは有意義なことだと考えます。
 しかし、本人の希望によって行う教育課程以外の部活動に参加するために必要な費用は、基本的に本人が負担することが大原則です。これは部費として部活動に参加する生徒あるいはその保護者が負担すべきです。

 ところが、最近の高校の部活動は、高校の教育課程に支障をきたさない範囲で自分のやりたいスポーツや文化活動をして過ごすという本来の姿から変質してきています。
 例えば体育系の部活動ではインターハイの全国レベルは、ほとんどセミプロのような状態です。各種の大会は次第に華美になり、マスコミはこうした高校スポーツをコマーシャリズムに載せて煽っています。その結果、部活動で全国レベルで成績を残すためには、高校本来の教育課程に支障のない範囲、経済的に自己負担で賄えるようなものではなくなっています。

 一方、高校の売名のために手っ取り早いのが、受験競争で有名大学への進学率を上げることと、部活動で全国レベルの成績を残すことです。そこで、高校や地方公共団体は金を出さなくても保護者から金を集めて、全国レベルの部活動を作って高校の宣伝に使おうとしているのです。そのための装置こそ、PTA会員を自動的に会員にする体育文化振興会というダミー組織であり、体育文化振興会費の強制的な徴収なのです。
 高校は自らの身銭を切る事無く、体育文化振興会費によって部活動に関わりのない生徒の保護者にまで経済的な負担を負わせて、全国レベルの部活動を作って高校の売名に利用しているのです。

 成績を求められる部活動に参加する生徒たちは、高校生としての教育課程を受ける権利を犠牲にし、友人たちと過ごす時間を削られ、高校の広告塔として駆り立てられ、利用されることになります。そんな彼らも犠牲者なのかもしれません。

 教育課程に支障をきたさない範囲で、他人の懐に頼らない分をわきまえた部活動において成績を残し、全国大会に参加出来るようになった部活動があった場合、2つの選択肢があります。一つの選択肢は経済的に参加できなければ参加を取りやめることです。そしてもう一つは、どうしても参加したいならば、誠意を尽くして募金活動をすることです。勿論、募金は強制ではなく、部活動に理解を求めた上で協力してもらうことは言うまでもありません。このような募金ならば全く何の問題もないでしょう。

 しかし、部活に何の関わりもない保護者からも有無を言わせず、強制的に年間1,000万円を超えるような部活動のための費用を集めるなど、何の合理的な理由もなく、到底許されるべきではないと考えます。

 冷静に考えてください。高校の正規の教育課程の学校運営費すら公費で賄えないような県立高校において、教育課程に支障のない範囲で、全国レベルの部活動を無理をせずに持つことなど極めて不自然です。そのための負担金をすべての保護者に強制することなど、私には金輪際賛同できません。『文武両道』などというのは、薄汚れた看板のように思えます。

A生徒会費

 生徒会活動は、高校の学習指導要領の中に定められています。生徒会は生徒全員が参加する活動=強制加入の活動であって、高校の教育課程の範囲内の活動であると考えられます。生徒会は生徒の自主的な活動であるけれども、未成年者の集団ですから、その資金管理を高校に委任することは理解できます。しかし、その決算報告が生徒会ではなくPTA総会で行われるというのが、私にはよくわからないところです。

『高等学校学習指導要領解説特別活動編』(平成21年7月文部科学省)から生徒会活動の内容を引用しておきます。

(1) 生徒会の計画や運営
(2) 異年齢集団による交流
(3) 生徒の諸活動についての連絡調整
(4) 学校行事への協力
(5) ボランティア活動などの社会参画

 この活動内容と生徒会費決算書を見比べてみると、どうも納得できません。支出の内訳の中で、学習指導要領の内容を実行するための費用は総務運営費である991,007円だけだと考えます。旅費、文化部費、体育部費

41,930円+721,546円+1,893,596円=2,657,072円

は課外活動の費用であって、生徒会費から捻出すべきではなく、個別の部活動において部費として徴収すべきものだと考えます。これら、部活動関係の支出は生徒会本来の支出の2.6倍にも達しています。ここでも生徒会という全員参加の組織が、部活動の資金集めのための集金装置として利用されているのです。部活動費を生徒会費から分離することによって、生徒会費は1/3以下にすることが出来るのです。

B特別指導費、空調設備維持会計、朝・土曜講座代

 これらの費目は、PTAがPTA会費以外に徴収している費目です。これらの費目について、大分県教育委員会による『私費会計取扱要領』80頁『2 学校関係団体費の事務処理のあり方』では次のように述べています。

・・・多くの県立高校のPTAが活動経費のほかに、「教育指導費」、「特別指導費」又は「進路指導費」などの学校援助的経費を集金しています。
 これらの経費は、学校の教育活動を支援する経費としての性格を有しており・・・

 つまり、これらの費目は高校における教育活動を行う経費に充当することを目的に、PTAが会員から徴収しているということです。

 一方、学校教育法では、学校の運営経費について次のように定めています。

学校教育法
(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)

最終改正:平成二三年六月三日法律第六一号


第五条
校学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

 つまり、本来は県立高校の運営経費は設置者である大分県が全額負担しなければなりません。また、地方財政法では次のように定めています。

地方財政法
(昭和二十三年七月七日法律第百九号)

(割当的寄附金等の禁止)
第四条の5

国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条 に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

(都道府県が住民にその負担を転嫁してはならない経費)
第二十七条の三
 都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。

 また、公立高校に対する資金提供は、たとえそれが善意であろうとも、教育基本法第四条(教育の機会均等)を形骸化させるものであり好ましいことではありません。

 高校の運営経費が十分ではないのであれば、保護者や教職員が協力して、高校設置者である大分県に対して教育費の増額を求めることが第一にすべきことなのです。安易に高校運営経費の欠損分を保護者による寄附金に転嫁することは、設置者の責任を曖昧にし、異常な状況を固定化させてしまうことになります。

 しかも現状では、PTAはこれらの学校援助的経費を予算化し、会員に割り当てて強制的に口座引落で徴収しています。これは地方財政法から見て不法行為であり、許されないことです。

 つまり、たとえPTA会員であったとしても、不法行為である学校援助的経費の強制的支払いを拒否することは適法であり、会員が支払い拒否の意思表示をしているにもかかわらずPTAがこれらの学校援助的経費を口座から引き落とすことは窃盗になるということです。まして、PTA会員ではない保護者に対して、学校援助的経費を請求する根拠など存在しません。

 教育委員会と高校管理職が結託して、保護者からの教育費の増額の要求の矛先が大分県に向かないようにするために、高校管理職をPTAの幹部に送り込み、大分県の意向に沿うPTA運営を行い集金装置として機能させる仕掛けが、強制加入のPTAであり、口座引落による強制徴収なのです(強制的加入の組織は会員を無気力にさせ、自ら考えることを放棄させるのに最適です。)。

 繰り返します。学校援助的経費の支払いは、PTA会員の自由意志による寄附金であって、支払い義務はありません。

C特に、朝講座・土曜講座代について

 学校援助的経費の中でも特に問題なのが朝講座・土曜講座代だと考えます。

 まず、朝講座・土曜講座の運営状況について見ておきます。娘の通う高校では、高校の発行する高校紹介パンフレットの中で次のように紹介しています。

これを見れば、朝講座は高校の学校教育の一部であると理解するのが普通です。また、高校ではこれ以外に月に2回程度(?)、土曜日に講義が行われています。娘の通う高校以外の近くの県立高校でも、実施日は異なることもあるようですが、同じように土曜日に講義が行われているようです。

 保護者から見れば、こうした朝講座や土曜講座も含めて高校の学校教育だと認識しています。

 ところが、こうした講義は高校の正規の授業時間に含まれておらず、学校教育以外の講義だということになっています。その理由は以下の政令によります。

『公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年12月3日政令第484号)』

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
(以下『法』という。) 第6条第1項 同条第3項 において準用する場合を含む。)の政令で定める基準は、次のとおりとする。
(1)  教育職員( 法第6条第1項 に規定する教育職員をいう。次号において同じ。)については、正規の勤務時間( 同項 に規定する正規の勤務時間をいう。以下同じ。)の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務(正規の勤務時間を超えて勤務することをいい、 同条第3項 各号に掲げる日において正規の勤務時間中に勤務することを含む。次号において同じ。)を命じないものとすること。
(2)  教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること。
イ  校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ  修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ  職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務
ニ  非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 つまり、朝講座・土曜講座のような計画的な課外講義に対して、高校(校長)は教員に対して時間外の勤務を命ずることが出来ないため、これらの講座は『便宜上』高校の事業ではないことにしているのです。そこで考えられたのが、朝講座・土曜講座という課外講義を『形式的』にPTAの主催する事業にしようというものです。

 PTAの行う事業とは、ひとつは社会教育関係団体として会員相互の親睦や学習活動によって会員の人間性を高める事業であり、もう一つはボランティア団体として『高校』に協力することです。朝講座・土曜講座は社会教育としての事業ではなく、高校が法的に直接行えない事業を、高校に代わってPTAのボランティア活動として朝講座・土曜講座を実施するということです。
 朝講座・土曜講座代とは、PTAがボランティアで朝講座・土曜講座を主催して運営するために必要な経費だと考えられます。確かに、朝講座・土曜講座を実施するための印刷費や備品に費用が必要なのかもしれません・・・。

 しかし、この朝講座・土曜講座代の使途は講師に対する謝礼金なのです。PTAが朝講座・土曜講座を主催するにしても、実際に講義を行う能力がなければ、PTAが外部から講師を雇うことは考えられます。その講師に対して、なにがしかの報酬ないし謝礼金を払うことは妥当でしょう。
 しかし、そもそもPTAとは高校の保護者と教職員によって構成された団体です。朝講座・土曜講座において講師を務めるのは高校の教員でありPTA会員です。PTAが主催する事業をPTAの会員(=教員)のボランティアで実施(=講義)するのに、会員に報酬ないし謝礼金を支払うとはどういうことなのでしょうか?PTAのその他の事業、例えば広報委員会の活動に参加したPTAの会員に報酬や謝礼金が支払われているのでしょうか?私には理解できません。

 そもそも、おそらく大分県下だけではなく、全国の大多数の公立高校において朝講座・土曜講座という課外の講義が実施されているのが現実だと考えられます。必要な講義であるのならば、こうした課外の講義を「公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令」の例外にするか、あるいは高校の教育課程に正式に組み込むように訴える事こそ最初にすべきことでしょう。高校ごとにバラバラの対応をすることは教育の機会均等を形骸化させるものです。

 保護者からの寄附金によって行われる朝講座・土曜講座の運営について、大きな問題になっています。文部科学省は学校関係団体が実施する事業に関わる兼職兼業等の取扱い及び学校における会計処理の適正化についての留意事項等について(通知)を出して注意を促しています。

 その中で、学校の正規の教育課程の講義と一体となり区別のつきにくいものについては、教員が報酬を得て講義を行うことは適切ではないとされています。土曜講座については意見がわかれるかもしれませんが、朝講座については明らかに文科省の通知に該当するものです。

 また同通知において、報酬額が社会通念上妥当かどうかも問題になると言っています。娘の高校の場合、決算報告が公開されていませんが、収入金額は次のように推定されます。

1,200円/人×8,528人=10,233,600円で

 これが全て報酬として教員に分配されるとすれば、平均的に教員一人あたり年間数十万円が支給されることになります。私はこの金額は社会通念上とても妥当な金額とは思えません。また、年間1,000万円を超えるような収入金額に対して、決算報告が行われていないことは異常です。税金処理はどうなっているのでしょうか?

 この問題について、教職員側からのレポート『「補習」のあり方について考える(2012年10月、愛知県高等学校教職員組合)』があります。私はこの中にあるように、課外の講義は教師がボランティアとして無理の無い範囲で行うことが妥当であると考えます。

 

5. 高校への申し入れと不誠実な対応

 2013年6月22日に娘の担任による家庭訪問のおりに、以下のレジュメにしたがって見解を求めました。

 PTAに関する問いに対しては、はっきりした見解を聴くことが出来ませんでした。たとえば5月18日に行われた学年PTAや学級懇談会はPTAの主催する会合なのか、高校の主催する会合なのか尋ねても、「私には判断できない」という答えしか得られませんでした。
 そこで、家庭訪問のおりに話した内容について、責任ある回答の出来る高校の管理職に対して説明を求めるために、娘の担任に6月26日付の手紙を渡しました。まだこの時点では、PTA問題に対する私の認識も曖昧なものであり、手紙の内容、特に朝講座・土曜講座に対する認識は現在とは少し違っていることをご了承ください。

 この申し入れをして以降、数度にわたって高校に対応について確認の連絡(書面で)をしたのですが、管理職で協議中だということで一向に説明は行われませんでした。
 そして2014年7月23日に高校に電話を入れ、娘の担任と教頭Aに直接尋ねたところ、実際には申し入れに対する対応を管理職で協議していたのではなく、ただ放置しており、大した問題では無いので高校としては説明は行わないというのです。これはあまりにも保護者を軽視し、愚弄する対応だと考えます。

月/日 対    応
6/26 担任に書面にて、学校・PTA運営の説明を依頼。
7/08 担任に再度書面にて、学校・PTA 運営の説明を依頼。
7/19 担任に書面にて日程調整の進捗状況の確認。
7/23 電話にて、担任・教頭Aに確認。教頭Aが対応しないことを明言。
7/26 校長に対して、書面にて5つの資料請求
7/29 電話にて教頭Bより話し合いの申し出。
7/30 教頭Bに書面にて話し合いの前提条件3項目を提示
教頭Bが2度拙宅を訪問し、文書にて話し合いの申し入れ。
7/31 校長に書面にて話し合い開始の3条件の検討と、5つの資料提出を要請


 とは言え高校とは最早話し合うことで解決策を見出すことは出来そうもないので、法的な対応を視野にいれて弁護士に相談することにしました。その結果、高校やPTAの不当な行為を証明する客観的な資料を手に入れることが先決だというアドバイスを貰い、7月26日(金)に校長に対して資料の提供を求めることにしました。

 この資料の請求を行うと、高校の対応は劇的に変わりました。週が変わって7月29日に、これまで対応にあたってきた教頭Aに代わって、教頭Bから電話がかかってきました。これまでこちらから電話をすることはありましたが、高校から電話がかかることはありませんでした(笑)。
 教頭Bは、破廉恥にも教頭Aが話し合いの必要なしとした件について、教頭Aの発言はなかったことのように、話し合いに応じたいと申し入れてきました。これまでの高校の対応から、そのまま話し合いの申し出に応じることは、とても出来ませんでした。そこで教頭Bに対して、話し合いを行う前提として7月30日に書面で3つの条件を提示しました。

 結局、高校は私の3項目の提案を無視したために、話し合いを持つことはありませんでした。

 校長に対して請求した資料に対する回答を以下に示します。結局、請求した資料はすべて存在しませんでした。

 この回答について、簡単に触れておきます。

項目1、2は、高校のPTAと体育文化振興会という組織において、会員が自由意志に基づいて会員になったことを示す客観的な証拠の確認です。
 回答から分かるようにPTAの勧誘において、合格者登校日にPTA会長から「PTA活動への参加をお願いいたします」というような話をしたあとで、「PTA会員名簿原稿」を記入させたということです。保護者とすれば、このような手続きであれば、PTAの加入は強制的であり、参加意志の確認は必要ないから、直接「PTA会員名簿原稿」を書かされるのだと了解します。
 自由参加の組織において加入の判断を求めるのならば、この時点でPTA規約を配布し、参加することによって発生する義務、たとえば会費支払い義務や、その他寄附金徴収など消費者契約法に言う「重要事項」についての説明も行わなければなりません。PTAと高校は十分な説明責任を果たしておらず、PTA加入契約は成立していないと判断します。
 また、体育文化振興会については、全く何の説明もなく、PTA総会において体育文化振興会規約を見たら「PTA会員を会員とする」という一文があることで、初めて気づくということであり、体育文化振興会への加入契約は、勿論、無効です。

 項目3、4は大分県高文連会費、大分県高体連会費の徴収において、その意味を説明し、保護者の支払い意志を確認した上で口座から会費支払いのための協力金を引き落としたかの確認です。
 回答から分かる通り、高文連・高体連会費が自由意志による寄附金であることについて、文書による説明は行われておらず、また支払い意志の確認も行われていません。これは窃盗です。註)たとえ事後に勝手に引き落としたことを説明し、保護者が異議を申し出なかったとしても、窃盗は親告罪ではありませんから刑法犯罪です。

註) その後、高校の事務長に確認したところによると、1年生の保護者については、高校の合格者説明会の折に配布した冊子の学校納入金の一覧を示し(下図参照)、入学式時に現金で徴収することを告知し、支払いの意思確認を行うことはなく、入学式時に一括納入金の一部として現金徴収した(口座引落ではない)ということです。

 ここには、どの費目が支払い義務のある費目で、どの費目が任意支払いの費目かの説明は一切なく、保護者はここに記された費目はいずれも支払い義務のあるものだと了解するのは当然です。いずれにしても、支払い義務のない費目について、保護者に支払いの意思確認を行わないまま一括納入金の一部として、支払わなければならないという錯誤を起こさせて徴収したことは詐欺行為です。入学式時の支払いに対して発行された娘の領収書(控)を以下に示します。

 このように、最初から全ての費目に対する領収書を予め用意していたということであり、保護者に対して支払い意思の確認など全く行われていなかったということです。

 

 項目5は、学年PTAや学級PTAという会合が、高校が主催するものかPTAが主催するものかの当否を明確にするために資料請求したものです。
 2013年のPTA総会の日に行われた学年PTAや学級PTAという会合では、配布された資料にはこれらの会がPTAの主催であることを誇示するように表題に「・・・PTA資料」などと印刷されていました。しかしながらその内容は、高校が全ての保護者に対して行うべき説明でした。学級PTAにおいて担任教師に配布された資料の印刷費の出処を確認したところ、学校事務費だと確認しました。
 ここに大きなジレンマが存在します。仮にこれらの会合がPTAの主催するものであれば、高校とは独立の組織の会合の資料印刷費を公費で支払ったということになります。これは公費の不正な支出に当たります。逆にこれらの会合がPTAではなく高校の主催する会合であるというのであれば、組織名称の詐称ということになります。
 この件に関しては、その後の会合名がPTAから保護者会に変更になりましたので、大分県に対する監査請求は行いませんでした。

6. 大分県教育庁(教育委員会)との交渉経過

 話合いを再開するための前提条件として提示した3項目の提案を高校が拒否したため、高校との話し合いで問題を解決する道は閉ざされました。残された方法は法的な手段を使うか、あるいは政治的な解決を目指すかということになりました。教頭Bに渡した7月30日付の文書にも書いているように、知人の県議会議員にこれまでの教科書の記述に関する問題と、PTAと高校の問題について説明し、対応を相談しました。その結果、大分県教育庁高校教育課の高畑一郎課長に話しをするように指示されました。
 大分県教育庁高校教育課に連絡したところ、実際には高畑氏とは話すことは出来ずに(笑)、管理予算班主幹の足立俊英氏を窓口として交渉を行うことになりました。こうして2013年9月20日に大分県教育庁で面談することになりました。

 当日は大分県教育庁から高校教育課の足立主幹他2名が参加しました。教科書記述の問題と高校とPTAによる不当な行為についての説明を行い、高校に対して対応を改善するよう指導するように要請しました。

 申し入れについて、後日足立氏より大分県教育庁の見解が文書で送られてきました。教科書問題については既に第1部「大分県の県立高校における非科学的な科学教育の実態」で報告しています。PTAと高校の不当な行為に対する見解を以下に引用します。

 大分県教育庁の指導で、進路説明会や学級懇談会がPTAの主催であるような表現が廃され、案内文章の宛名も「PTA会員各位」から「保護者各位」へと正常な形になりました。

 次に、高文連・高体連会費については、2013年度からは協力要請を行い協力を求めた、ということになっていますが、勿論私はPTA会員ではありませんからPTA総会には出席しておらず、そのような協力要請を受けていません。
 この件については、私が高校に再度確認したところ、実際には2013年度においても強制的に口座から引き落としが実行される前には支払い協力要請は行われておらず、支払いの意思確認も行っていませんでした。PTA総会では、高文連・高体連からの協力要請文章を配布して、PTA会員に対して口座からの引き落としについて事後承諾を得ただけでした。この事実を後日大分県教育庁に対して上申しました。

 最終的に大分県教育庁高校教育課高畑氏から受け取った見解を以下に示します。

教育公務員特例法
(昭和二十四年一月十二日法律第一号)
最終改正:平成二四年八月二二日法律第六七号

第三章 服務

(兼職及び他の事業等の従事)
第十七条 教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項 に規定する県費負担教職員については、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会。第二十三条第二項及び第二十四条第二項において同じ。)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。
 前項の場合においては、地方公務員法第三十八条第二項 の規定により人事委員会が定める許可の基準によることを要しない。

 高文連・高体連会費のような任意支払いの費目について、大分県教育庁は協力の要請を行えばそれで必要十分という認識ですが、協力を要請した上で、各個人に対して支払い意志の確認を行い、支払いを承諾した保護者からだけ徴収するようにしなければ支払の任意性は担保できないことは当然であり、更なる改善を求めていかなければなりません。

7 学校関係団体費について

 大分県教育庁に申入れをした段階では、朝講座・土曜講座と言うものについて、主にその運営主体がPTAということに対する疑問が主な内容でした。
 一方、PTAを辞めたにも関わらず相変わらず徴収され続けている特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代という費目については、名称からは学校の運営資金の一部のようですが、会計処理がPTAで行われており、どう理解すればよいのかモヤモヤしたままでいました。PTAを辞めるに際して教頭Aにあれだけ確認したのですから、まさかPTAに支払う費目ではないと、まだどこかで信じていました。
 はっきりさせるために、インターネット上で情報を探しました。そのような中で沖縄県についての掲示板で「PTA会費で教員に手当てを支給 その3」という話題が議論されていました。また、ホームページ“PTA署名、法律面からのアプローチ”(素晴らしいPTAと修羅場らしいPTA(Think! PTA!)署名チーム)から多くの情報を得ることが出来ました。

 これらの情報から、特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代という費目は、PTAがPTA会費以外に徴収する費目であることが分かりました。これらの資金は実質的に高校運営に支出されるものですが、学校教育法第五条から高校(大分県)が直接保護者に対して転嫁することが出来ないために、代わってPTAが徴収している費目であると分かりました。
 更に、こうした費目の徴収にあたっては、地方財政法第四条の5から、たとえ高校とは独立の団体が徴収するにしても、割り当てて強制的に徴収することは禁止されていることが分かりました。そこで、娘の担任教師に確認するために10月17日付の手紙を渡しました。

 これに対する回答を以下に示します。

 PTAは任意団体であり、その規約や決定事項はPTAという組織の中でだけ有効なものです。これらの学校関係団体費の支払いを決定したのはPTAであり、対象者となるのはPTA会員であって、保護者全員ではありません。
 勿論、これらの学校関係団体費が支払いは任意の寄附金だというのであれば、PTAがPTA会員でない保護者に対して寄附金の意味を説明して賛同者を募るのは自由です。しかし、私はPTAを退会しており、退会の際にはPTAの集める費目は支払わないことを意思表示して、PTAに支払ってきた費目を教頭Aに確認したのです。つまり、教頭Aは虚偽の申告をしたということです。もう少し問題を絞り込むために再度質問を提出しました。確認項目は以下の4点です。

@学校関係団体費とは任意支払いの寄附金か強制徴収の義務的費用か。

A学校関係団体費の支払い、PTAへの参加及び会費の支払、体育文化振興会の加入・会費支払い、高文連・高体連会費支払いについては、十分に説明責任を果たした上で、本人の意志確認を行うようにするか。

B朝講座・土曜講座代は支払わなくても受講できるか否か。

CPTAが朝講座・土曜講座代から講師に多額の謝礼金を支払うことをどう考えるか。

 回答を以下に示します。

 この回答で、特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代は任意支払いの寄附金であると確認できたと考えます。
 しかし、こうした任意の行為に対する意思確認をするかどうかについては「保護者の皆様にご理解をいただきたい」としており、意思確認の考えはないようです。なんの本質的な反省も理解もないようです。
 朝講座・土曜講座代からの高額の謝礼金については、問題ないという考えのようですが、文科省の通知からも、議論すべき課題だと思います。
 ただし、朝講座・土曜講座代を支払わなくても受講は可能なことが確認できたことは収穫です。

 この回答を受け取った後、再度確認のために11月21日付で質問を提出し、併せて「特別指導費」「空調電気代」「朝講座・土曜講座代」の支払い義務の根拠が説明できないのであれば支払いを拒否する旨を申し出ました

 その後、高校・PTAからの回答はなかったために、これまでの議論を整理した2014年1月10日付の文章を作成し、2013年度4月から半年間、支払い義務がないにもかかわらず詐取された「特別指導費」「空調電気代」「朝講座・土曜講座代」等の全額返還を求めることにしました。文章中の別添資料とは、2013年4月分の学校納入金の案内文章です。

 回答を以下に示します。「特別指導費」「空調電気代」「朝講座・土曜講座代」、PTA会費、体育文化振興会費の返還は拒否されました。

 この回答に対して、再度、不当に徴収した支払金の全額返還を促す2014年2月3日付の文章を高校に提出しました。

 

 2014年1月31日に、電話で大分県教育庁にPTAからの学校関係団体費の高校への委任契約はどのように行われているのかを確認するとともに、高校が保護者から不当に徴収した金員を返還するよう指導する要請を行いました。回答は後日、高校教育課の足立主幹が取りまとめて文書回答することになりました。回答を以下に示します。

 教科書問題でもそうでしたが、大分県教育庁の役人は県民の公僕という立場を忘れ、ひたすら身内の擁護に汲々とするだけの、真の意味で無能な役人ばかりであることに暗澹たる気持ちになります。我々大分県民はなんと不幸なのでしょうか。
 大分県教育庁からの回答は、高校の言い分をそのまま引用しただけであり、全く自ら事実関係の確認を行っていないようです。

 PTA規約第22条では『会長はこの会の予算の執行に関する権限を副会長である校長に委任する。』とされていますが、これは奇妙な内容だと考えます。PTA規約とは任意団体の内規ですからPTAという組織内でしか意味を持ちません。PTAという組織の会計処理を独立な別組織である県立高校に委託するということをPTAの内規で規定してどういう意味があるのか、私にはよく理解できません。この内規が意味があるとすると、民主的な組織であるはずのPTAに、別組織である高校の長である校長がその立場のまま、PTA副会長を兼務しているということです。例えれば、メインバンクの支店長が融資企業に役員待遇で出向してきたようなものです。要するにべったりの関係ということです(笑)。まあ、この問題はここまでとしておきます。

 話を戻して、この回答は全く回答になっていませんので、再度回答を求める2014年2月13日付の文章を提出しました。文中の資料2は2013年4月分の学校納入金の案内文章であり、資料3は高校長からの7月31日付の回答書です。

 これに対する大分県教育庁高校教育課高畑課長の回答を以下に示します。

 これは呆れた回答です。私が説明を求めた学校関係団体費の詐取の件、PTA・体育文化振興会の加入の任意性の問題については一切回答していません。

 2012年度高文連・高体連会費の件については、既に大分県教育庁は、9月25日付の足立主幹の文章において、高校は保護者に対してこれが任意支払いの費目であることを説明していなかったことを一旦認めていました。
 ところが、今回、不正に徴収した高文連・高体連会費の返還を求めたために、急遽、何でも良いから前回示した認識を覆すことの出来そうな資料を探すように高校に照会したのではないかと考えます。そこで出てきたのが、合格者登校日に保護者に対して入学の手続きなどを説明した冊子の中に支払いを求めた費目の一覧表があり、新入生の保護者に限っては4月の学校納入金は入学式時に、保護者が自ら現金で支払ったということだったようです。勿論、2012年度の2,3年生の保護者に対しては口座からの引き落としでした。

 この件は前述の通り、入学式時に支払う費目の一覧表を示し、合計金額を現金で釣り銭の要らぬように納金することを説明したのであって、一覧表の費目の内、どれが支払い義務のある費目で、どれが任意支払いの費目であるのかを説明したわけではありません。
 また、領収書の様式から分かるように、保護者に支払金額を決めさせるようなことは一切考慮されていなかったことは明白です。つまり、保護者は合格者登校日に示された納入金一覧表の費目は全て支払い義務のある費目であるという錯誤によって、瑕疵のある判断で自ら現金を支払ったのです。高校の行った行為は、法的には「詐欺」と呼ぶ行為です。

 大分県教育庁高校教育課の足立主幹に確認したところ、今回の回答の内容は、高校の事務長に口頭で話を聞いただけで、実際にどのような文書を以って、何を説明したのか、そして領収書の様式がどのようなものであったのかも確認していなかったようです。私の確認した資料を添付して、再度、大分県教育庁高校教育課に見解を求めています。

 

 

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