No.1356(2021/06/12) 非科学によるCO2温暖化対策の「常識」を考えるG
「産業革命以降の気温上昇はかつて経験したことのない脅威」という主張

 現在の世界を巻き込んだ温暖化脅威論の狂騒状態は、温暖化によって生態系が破壊されてしまうという恐怖を煽ることによって、大衆を思考停止状態に陥れ、冷静で自然科学的な判断をすることができない状態にすることによって引き起こされたものです。

 例えば、「現在の気温は人類がかつて経験したことのない異常な高温である」、「産業革命以降の気温上昇は人類がかつて経験したことのない速さで進行している」という具合です。スウェーデンの少女グレタ嬢は「私たちの家(=地球)は燃えている」と言って大衆を扇動しています。
 この種の情報は、個人やマスメディアが際物的に流布しているだけではありません。国際的な気候変動に対する枠組を協議する国際機関であるIPCCの2020年以降の枠組みを定めたパリ協定の第二条目的の第一おいて次のように述べています。

「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ、継続すること。」

 つまり、産業革命以前からの気温上昇が1.5℃を超えると、気候変動によるリスクが著しく高くなると主張しているのです。

 上図は地球誕生からの気温変動の概要を示したものです。水色に塗ったエリアは地球に極冠(極氷)や高地に氷河が発達している「氷河期」であることを示しています。現在は右端に位置しています。現在は新生代第四紀の「完新世」であり、地球史上5回目の氷河期の只中にあることがわかります。
 新生代の前の中生代はジュラ紀や白亜紀という大型恐竜が隆盛を極めた時代でした。当然ですが、地表面環境は灼熱の死の世界ではなく、温暖湿潤で豊かな生物相があったのは言うまでもありません。

 上図は新生代の気温変動の概要です。新生代に入ると次第に気温が低下し始め、3400万年前くらいから南極大陸に氷河が発達し始め(Antarctic Glaciation)現在に続く新生代氷河期が始まりました。500万年前頃には北半球でも氷河が発達し始めます。

 上図は新生代氷河期の気温変動です。気温は低下傾向を示し、100万年前くらいから気温変動の振幅が大きくなりました。これは、天体としての地球の運動周期によって現れる気温変動であり、ミランコビッチ・サイクルと呼ばれています。

 上図は南極大陸のアイスコアの分析から求められたミランコビッチ・サイクルに伴う気温変動です。約10万年周期で気温が大きく変動していることがわかります。ピンクで着色した温暖な時期を「間氷期」、寒い時期を「氷期」と呼びます。間氷期は短いことがわかります。
 現在は右端に示す間氷期にあり、幸い比較的温暖な気候が続いています。この1万年余り継続している温暖期を「完新世」と呼びます。

 上図はグリーンランド氷床の分析から得られた完新世の気温変動を示しています。7000年ほど前の最高気温を示している時期をヒプシサーマル(hypsithermal)期,あるいは気候最適(postglacial climatic optimum)期と呼びます。これは日本では縄文文化の最盛期にあたり、縄文海進が進んだ時期です。その後気温が低下することで縄文文化は衰退し、弥生文化に移行することになります。
 3000年前頃から現在まで、1000年ほどの周期で気温の極大期が現れています。3000年前頃の気温極大期には地中海文明(クレタ文明、ミノア文明)が興りました。
 2000年前頃はローマ帝国の最盛期でした。その後、寒冷化の影響からローマ帝国は衰退しました。
 1000年前頃は中世温暖期であり、北欧ではバイキングが勢いを増し、北はグリーンランドへの入植、南は地中海一円にまで交易を広げていました。日本では平安文明が爛熟期を迎え、東北地方では奥州藤原氏が隆盛を誇りました。

 このように、人類文明が興って以降についてだけ見ても、温暖化した時期には温暖で湿潤な気候を背景とする豊かな生態系によって人間文明は栄えました。寒冷化は生態系の豊かさを直撃するため、人間文明も衰退することになりました。
 中世温暖期が終わり、
14世紀頃から地球は寒冷化し、「小氷期(Little Ice Age)」と呼ばれる、完新世で最も気温の低い、厳しい気候の時期が500年間ほど続きました。世界的に飢饉が頻発し、欧州ではペストの大流行によって人口が激減しました。

 産業革命が興ったのは18世紀、この寒冷な完新世小氷期の終盤の時期でした。

 産業革命は18世紀後半に始まりました。その後、小氷期は19世紀半ばまで続きました。その後気温は回復して20世紀は温暖な気候が続きました。

 上図は」小氷期以降2000年頃までの太陽放射照度と気温変動を示しています。小氷期終了以降1940年代までは気温は上昇傾向を示した後、第二次世界大戦後は1970年代を底とする気温低下傾向が顕著になりました。その後2000年頃までは気温は上昇傾向を示し、2000年代に入ると気温は停滞ないし下降傾向を示しています。

 以上、地球の気温変動の歴史的変遷を概観してきました。現在は、地球史的には第五氷河期という寒冷な時代にあります。
 現在は氷河期の中では幸い比較的温暖な完新世と呼ばれる間氷期にあります。完新世の中で最も寒冷で過酷な時期であった、500年程度続いた小氷期が19世紀中半に終わり、小氷期終盤に起こった産業革命当時から0.6℃程度気温が上昇したのが今日の地球の温度状況です。
 有史以来の人類史に照らして、現在は過去の文明が栄えた完新世の温度極大期である、ヒプシサーマル期、ミノア温暖期、ローマ温暖期、中世温暖期よりも低温であることがわかります。完新世で最も寒冷であった小氷期の終盤の産業革命が興った時期からわずか1.5℃程度の気温上昇によって、生態系にとって高温による気候リスクが極端に大きくなることは過去の人類文明の歴史的事実に照らして、ありえないことです。現時点において、今後多少温暖化しても環境の脅威となることはありません。過去の歴史から見てむしろ温暖化することは好ましいことです。
 現在における環境危機の原因は過去の気温極大期には存在しなかった物理的・工業的な自然環境に対する乱開発にあると考えることが合理的です。 

 

No.1355(2021/05/25) 非科学によるCO2温暖化対策の「常識」を考えるF
「自動車の動力源を非化石燃料にすればCO2放出量を減らせる」という主張

 この問題については、既にレポート『工業化社会システムの脱炭素化は不可能』やこの連載の第一回目に報告した通りです。

 22日に富士スピードウェイで開催された耐久レースに参加したトヨタの水素エンジン車について、NHKが大々的(笑)にニュース番組の中で取り上げていましたので、NHKのニュースウェブから紹介します。科学的な分析能力の欠如したNHKによる、豊田章男の主張をそのまま垂れ流す、太鼓持ちの提灯記事です。


 

NHKニュースウェブ:22日放送

「水素エンジン」車 レース出場 脱炭素へ次世代の車なるか
2021年5月22日 19時41分

 ガソリンではなく水素を燃料にした「水素エンジン」の車が、22日、静岡県で開かれている自動車レースに出場しました。走行中はほとんど二酸化炭素を出さず、脱炭素に向けた次世代の車として注目を集めそうです。
 水素エンジンの車はトヨタ自動車が開発し、22日から23日にかけて静岡県小山町の富士スピードウェイで行われる24時間耐久レースに出場しました。従来のガソリンエンジンを一部、改良した仕組みで、化石燃料ではなく水素を空気と混ぜて燃やし、動力にします。 走行中は二酸化炭素をほとんど排出せず、排気管から出るのは水蒸気です。
 レースではトヨタの豊田章男社長もドライバーを務め、ガソリンエンジンの車と同じようなエンジン音を響かせながら、最もスピードが出る直線のコースを時速およそ200キロで走り抜けました。
 トヨタは、水素を使って発電しモーターで走るFCV=燃料電池車を市販するなど、次世代のエネルギーとして水素の製造や普及に力を入れていて、レースでは福島県浪江町で製造した再生可能エネルギー由来の水素も使っています。今後、燃費を向上させるなどさらに開発を進めて実用化を目指す考えで、脱炭素に向けた次世代の車として注目を集めそうです。

豊田社長「水素エンジン 選択肢に」
 トヨタ自動車の豊田章男社長はレース前に会見し、カーボンニュートラルの実現に向けた選択肢の一つとして水素エンジンの開発を進めたいという考えを示しました。この中で豊田社長は「水素エンジンの開発のゴールはカーボンニュートラルだ。車の電動化の中ではEV=電気自動車が中心となるが、すべての車がEVとなれば日本では100万人の雇用が失われる。水素エンジンの車が選択肢になるということをモータースポーツの場で実証実験できる」と述べました。
 そのうえで「何が何でも走りきりたいと思うが、天候が相手で何が起こるかわからない。レースを通じて水素をつくるところ、走るところ、使うところをお見せする世界初の試みで、応援いただきたい」と意気込みを語りました。

“FCV=燃料電池車”と“水素エンジン”
 水素を使って走る車には、FCV=燃料電池車と今回のような水素エンジンの車があります。最大の違いはどのようにして水素を動力に換えているかです。
 FCVは、水素を空気中の酸素と反応させて発電し、モーターを動かして走ります。電気でモーターを動かす仕組みはEV=電気自動車と同じで、走行時は二酸化炭素は出しません。
 一方、水素エンジンの車は、文字どおり「エンジン」=内燃機関を搭載しています。ガソリンなどの化石燃料の代わりに水素を燃焼させてピストンを動かし、動力にしています。走行時にはエンジンオイルが燃焼する分を除けば二酸化炭素を出しません。
 1回の水素補給で走れることができる距離をみてみますと、トヨタやホンダが手がけるFCVの乗用車は700キロから800キロで、今の市販のEVよりも長いのが特徴です。これに対して、今回、トヨタが開発した水素エンジンの車は、スピードを重視したレース用の車ですが、およそ50キロ。実用化にあたっては燃費をどこまで向上できるかが課題となります。
 一方、車の価格はFCVは水素と酸素を反応させるのにプラチナを使うなどコストがかかるため、トヨタ、ホンダとも最も低価格のモデルでも補助金なしでは700万円台です。これに対して水素エンジンの車は従来のガソリンエンジンの技術を応用できます。今は市販されていませんが、FCVと比較すると車の価格そのものは低くなるとみられているほか、利用者にとって乗り換えがしやすいのではないかという見方もあります。

水素エンジンの車 過去には…
 水素エンジンの車はこれまで国内外のメーカーが開発してきました。国内メーカーでは、マツダが2006年に独自のロータリーエンジンでガソリンだけでなく水素も燃料に使うことができる車をリース販売しました。また、水素を燃料にしたエンジンで発電し、モーターで走るハイブリッド車も開発してリース販売しましたが、いずれも現在は販売を終えています。
 海外ではドイツのBMWが水素エンジンの車を開発しましたが、現在は販売していません。
 水素エンジンの車はガソリンエンジンの仕組みを応用できる一方、水素を効率よく燃焼させたり車の中で貯蔵したりするのに高い技術が必要で、現時点では次世代の車の主流にはなっていません。一方、トヨタは7年前からFCVの量産を始めていて、その技術を今回の開発に役立てたということです。

トヨタ 水素需要を増やすねらい
 トヨタが水素エンジンの開発を進めるのは、次世代エネルギーとして注目されている水素の需要を増やしたいというねらいがあります。水素をめぐっては、国も2050年のカーボンニュートラルを実現するための重要なエネルギーと位置づけています。
 福島県浪江町では去年、再生可能エネルギーを使った世界最大級の水素の製造施設が完成し、車や工場などでの利用が進むよう補助も始めています。ただ、現時点で水素の利用は多くはありません。
 水素を補給する施設はガソリンスタンドが3万か所を超えるのに対しておよそ160か所にとどまっているほか、製造、輸送、貯蔵にコストがかかりガソリンや天然ガスと比べて割高なのも課題です。
 こうした中、トヨタは自動車業界の中で早くから水素に注目してきました。7年前には世界に先駆けて水素で発電して走るFCV=燃料電池車の量産を始めたほか、最近もいすゞ、日野自動車と提携し、FCVのトラックの開発に乗り出しています。
 また、富士山のふもとで開発を進めている未来型都市でも水素を使って発電し、電力を住宅などに供給する仕組みを計画しています。
 トヨタは水素エンジンの導入はトラックやバスなどの商用車を念頭に置いていますが、水素の需要が増えれば、ゆくゆくインフラの整備が進んだり価格が下がったりすることも期待できるとしています。

エンジン技術 継承も
 一方、水素エンジンの開発には、エンジンの技術を残したいというねらいもあります。脱炭素の機運が高まる中、世界の自動車メーカーはEV・電気自動車の開発に力を入れています。高い技術が求められるエンジンが必要なく、電池とモーターで走るため、アメリカや中国のIT企業も開発に参入しています。
 ただ、エンジンはおよそ1万点の部品からできていて、多くの企業が製造にかかわり技術を磨いてきました。仮に将来、EVへの転換が急速に進めば、エンジン製造にかかわってきた人たちの雇用にも影響するといった指摘もあります。このため自動車業界では、水素エンジンをはじめ、ハイブリッド車や従来のエンジンでeーfuelと呼ばれる合成燃料を使う研究など電動化だけでなく、エンジンの技術を残しながら脱炭素を目指そうという動きも出ています。

日本メーカーの課題
 脱炭素に向けた取り組みが世界規模で進む中、自動車業界ではEV・電気自動車へのシフトがかつてないスピードで進んでいます。とりわけヨーロッパでは再生可能エネルギーの普及が広がっていることも追い風に、いわば国家戦略としてEVへの転換を強力に進めています。
 一方、日本は火力発電所の比率がまだまだ高く、EVに転換しても必要な電気をつくる段階で多くの二酸化炭素を排出することになるという難しい事情があります。
 日本のメーカーは、ハイブリッド車や燃料電池車、そして今回の水素エンジンの車など、多種多様な次世代カーを手がける技術力が最大の武器だとしています。EV以外の可能性も追求しながら「脱炭素にもっとも近道となる車はなにか」を的確に読み取っていく力が求められそうです。


 工業化社会の脱炭素化とは、特定の個別分野の脱炭素化とは直接関係ありません。トヨタをはじめとする車屋の無能な技術者たちは、自動車が走るときのエネルギー源を化石燃料以外にすることしか考えていないのです。
 繰り返しになりますが、工業化社会とは、製品製造ラインを動力機関によって駆動することによって成り立っています。動力機関は、産業革命当初は石炭火力による外燃機関であり、その後石炭火力に加えて石油や天然ガスを用いた外・内燃機関が主流となっています。
 工業化社会の脱炭素化というのは、工業的な製品製造ラインから全ての化石燃料を排除することと同義です。化石燃料に代わって工業的な製品製造ラインを持続的に駆動することのできるエネルギー源の最低必要条件は、エネルギー産出比が1.0を超えることです。
 『工業化社会システムの脱炭素化は不可能』で詳述した通り、再生可能エネルギー発電、原子力発電はいずれもエネルギー産出比が1.0を大きく下回るために、工業化社会を維持することができません。
 エネルギー産出比が1.0とは、着目するエネルギー供給システムが生み出すエネルギーによって、エネルギー供給システムを単純再生産できるという条件です。エネルギー産出比が1.0を下回るということは、その他のエネルギー供給システムからエネルギーを補填しない限り単純再生産すらおぼつかないことを意味し、まして工業製品製造ラインに対してエネルギーを供給することはできないのです。

 自動車の脱炭素化とは、自動車の製造から廃棄までの全てに関わるサプライチェーンのあらゆるプロセスにおいてCO2を放出しないことでなければなりません。
 具体的には、自動車を作るための原料資源の採掘から精練・加工、自動車の部品製造・組み立てないし、自動車工場の建設・製造・運用、自動車運用時に使用するエネルギー源の製造、自動車の補修・維持、廃車後の処分・・・・にいたるまでの全てのプロセスで投入される資源までを考慮しなければならないのです。

 自動車の製造から廃棄までの全てに関わるサプライチェーンの脱炭素化は不可能でも、「動力源を脱炭素化すればそれだけCO2放出量は減るのではないか」という疑問が湧くかもしれません。この点について考えてみます。
 自動車用の非化石燃料の動力源の一つとして電気があります。現在は主に火力発電電力が用いられています。火力発電電力の化石燃料に対するエネルギー産出比は0.35程度です。
 自動車用電力を再生可能エネルギー発電で製造すると、化石燃料に対するエネルギー産出比は0.35よりもむしろ低くなります。つまり、再生可能エネルギー発電を用いる方が、単位供給電力量当たりに消費される化石燃料が増加するのです。なぜか?再生可能エネルギー発電システムは、あまりにも生産性が低いために産出する単位電力量当たりに必要な発電装置システム規模が巨大になり、これを製造・建設・運転・維持管理するために莫大な化石燃料を消費するからです。
 「再生可能エネルギー発電システムを化石燃料で作るからCO2を発生するのだから、化石燃料の代わりに再生可能エネルギー発電電力で作ればよいではないか」という短絡的な意見があるかもしれません。しかし、前述の通り、再生可能エネルギー発電電力だけでは再生可能エネルギー発電システムを単純再生産することもできませんから、電力を電気自動車に供給することなど不可能なのです。外形的に再生可能エネルギー発電電力を電気自動車用に供給したとしても、再生可能エネルギー発電システムは供給した電力よりももっと大量のエネルギーを消費しているのであって、実質的には化石燃料消費を増大させているのです。
 以上から、自動車の動力源を電気にすることによって、化石燃料消費は増大することになるのです。

 次に自動車の動力源として水素を用いる場合を考えます。これは『工業化社会システムの脱炭素化は不可能』において電気分解水素製造で検討した通り、水素製造に投入した電気エネルギーよりも製品として製造された水素の持つエネルギーの方が必ず小さくなるため、全く無意味です。
 例えば電気モーターで走る自動車には電気自動車と燃料電池車がありますが、当然燃料電池車の方がエネルギー利用効率が低くなるため、科学的合理性を重視する欧米諸国では燃料電池車は既に放棄され、電気自動車しか考えられていません。燃料電池車を実用化しようなどと考えているのは、政商となったトヨタに騙された日本政府ぐらいなものなのです。

 さて、それでは今回トヨタの発表した水素エンジン車についてです。既に検討した通り、水素の製造には同じエネルギー量の電力製造より以上に大量の化石燃料が消費されます。その結果として、水素は高価な燃料になるのです。したがって、かつて水素エンジンを開発した自動車メーカーはすでに撤退しているのです。これが科学的な合理的判断です。
 同量の水素から取り出せる有効なエネルギー量は水素エンジンよりも燃料電池の方が多いのではないでしょうか?熱機関である水素エンジンでは廃熱が大きく、熱効率が低くなるためです。そのためかどうかわかりませんが、今回のレースに登場したトヨタの水素エンジン車の燃費はすこぶる悪いようで、一回の水素充填で走れる距離は僅か50kmだったといいます。
 一方車体価格は燃料電池車よりも安くなるかもしれないとしています。いずれにしても水素を用いた自動車は燃料電池車であろうと、水素エンジン車であろうとCO2放出量を飛躍的に多くする愚かな技術としか言いようがありません。
 トヨタが燃料電池車や今回の水素エンジン車を投入しようとしているのは、脱炭素のためと言って愚かな日本政府を騙し、高額の補助金を得て通常の市場では売れるはずのない高額商品を売ろうとたくらんでいるからということです。

 

No.1354(2021/05/24) 非科学によるCO2温暖化対策の「常識」を考えるE
「南極棚氷の崩落、北極海の海氷の減少で海水位が上昇する」という主張

 さすがにこのことをいまだに信じている方は少ないと思いますが、温暖化騒ぎが始まった頃はマスコミの皆さんも大真面目でこの種の情報を流していました(笑)。

 この写真は、南極大陸周辺の南極海に張り出した「棚氷」の先端部分が崩落する瞬間をとらえたものです。ひと頃はこの種の映像がよくテレビに流れたものです。

 棚氷とは南極氷河が海岸に到達して更に海の上に流れ出したものです。大陸の海岸線から数10〜100km以上も張り出したものもあります。こうした棚氷は比重の違いから海水表面に浮いています。 棚氷は、歪の蓄積や海水からの物理的な力を受けて先端付近から周期的に分離していきます。

 21日のNHKのニュース番組で、南極で巨大な棚氷の塊が分離したことが伝えられていました。これはCNNニュースからの伝聞であったようなので、CNNのホームページから紹介します。



 記事の中にも書いてある通り、海水に浮かんでいる棚氷や北極海の氷山が崩落したところで海水位は上昇しません。これは、中学校の理科で習ったアルキメデスの原理を理解している中学生ならばわかることです。

 アルキメデスの原理とは、
「物体は流体中ではその物体の押しのけた流体の重量分だけの浮力を受ける」
というものです。

 水は凍るときに体積が1割ほど大きくなります。固まる前の水の体積を10、その水の凍った時の氷の体積を11、重さをWだとします。
 この場合、氷を水に徐々に沈めていくと、水中にある氷の体積の押しのけた水の重量分の浮力を受けます。水面下にある氷の体積が次第に増えると浮力も大きくなります。ちょうど水面下にある氷の体積が10になると、浮力はWと等しくなり氷の重さと釣り合うことになり、それ以上氷は沈むことができなくなります。海面上には氷の体積の1/11だけが顔を出していることになります。

 冒頭に示した写真のように、棚氷の先端が海水中に崩落すると、確かに崩落した氷塊が水中に沈んだ分だけ海水位は上昇するはずです。しかし、棚氷本体は崩落した氷塊の重量分だけ軽くなるために少し浮き上がり、トータルでは海水位は変化しません。
 棚氷や海氷が溶ける場合も同じことです。ただし厳密には南極氷河は淡水であり、海水とは比重が異なりますので、全く変わらないわけではありません。

 このような単純な事柄ですが、温暖化騒ぎの始まった頃には、マスコミを含めたいい大人たちまでが棚氷や北極海の海氷面積が減少することで海水位が上昇すると騒いでいたのです。
 私たちは人為的CO2温暖化騒ぎに熱狂するのではなく、冷静にメディアや権威組織から聞こえてくる情報に対してもう少し論理的に分析する姿勢を持たなければならない、真の『メディアリテラシー』を持つことが必要です。自戒を込めて!

 

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