No.1361(2021/08/30) 「観測史上初」という言葉の意味を考える
全ての稀な気象現象・自然災害を人為的CO2地球温暖化に結び付ける非科学

 IPCCの新報告書が発表になるというアナウンス以降、温暖化の脅威を煽る非科学的で感情的な報道が過熱しているようです。
 8月29日のTBSの朝の報道バラエティー番組「サンデーモーニング」の中で、『グリーンランドの標高3000m付近の高山で観測史上初の降雨が観測された』ことが温暖化の脅威を示す事実として紹介されていました。
 私が最初に思ったことは、「グリーンランドの標高3000m付近の気象観測はいつ始まったのだろう?」という疑問でした。

 そもそも現在の気象観測データと比較し得るような系統的な気象観測が始まったのはそれほど古い話ではないはずです。長くても200年程度、しかもごく限られた地域でのデータがある程度でしょう。日本ではさらに観測期間は短いでしょう。
 つまり、直近の気候温暖期であった1000年ほど前を中心とする中世温暖期については、最早比較し得るデータなど存在しないのです。ましてグリーンランドの辺境の標高3000mの場所の観測データなど記録があるはずもないのです。

 近年、やたら自然災害や稀な気象現象が頻発しているような非科学的な報道が横行しています。しかし、その多くの部分は数百年以前には人さえ住んでいなかった辺境の地や自然環境の厳しい所にまで人間社会が進出し、それに伴ってそれまでには存在しなかった気象情報がもたらされるようになり、さらに近年の情報メディアの発達によって世界中に情報が届くようになったことに依ります。
 冷静に考えてみてください。統計上30年に一度程度観測される稀な気象現象である気象用語の『異常気象』は毎日地球上のどこかで必ず起こっているのであり、温暖化の脅威を思わせる異常高温現象を殊更報道したい者は世界中からこの種の観測結果を探し出しては報道しているのですから、この種の情報が報道される頻度は間違いなく増加傾向にあります。それが果たして地球の歴史から見て異常であり、人間社会にとっての脅威であり、まして人為的に放出したCO2の結果であるかは全く別次元の問題です。

 このような条件をすべて無視して、「観測史上初」という言葉それ自体が人為的CO2地球温暖化による異常気象、人間社会にとっての脅威に直結して語られているのです。本来ならばこうした過熱報道に対して「専門家」の立場から、科学的分析によって戒めるべき気象研究者たちの大多数が、更にこれを煽っているのですから全く話になりません。彼らに自然科学を語る資格はないと考えます。

 サンデーモーニングのネタ元であるCNNの報道をホームページから紹介します。


グリーンランド山頂に降雨 観測史上初

(CNN) 標高3000メートルを超すグリーンランドの山頂で、14日に降雨が観測された。雪ではなく雨が降ったのは、観測史上初めてだった。

山頂の気温は先の週末にかけ、氷点下を超えて上昇した。氷点下を上回ったのはこの10年足らずで3度目。同地は暖気の影響で豪雨に見舞われ、氷床の上に70億トンもの水が降り注いでいた。

米国立雪氷データセンターによると、降雨量は1950年に記録を取り始めて以来、最も多く、15日に失われた氷の質量は平年の1日平均の7倍に上った。

米国立雪氷データセンターの研究員テッド・スカンボス氏はCNNに対し、この現象はグリーンランドの温暖化が急速に進んでいる証しだと述べ、「これは単純に気候パターンが変動する中で10年か20年温かさが続くといった現象ではない」「前代未聞だ」と指摘した。

米国立科学財団のサミットステーションは、グリーンランドの氷床で最も標高が高い場所にあり、ここを拠点として北極圏の天候や氷の変化を観測している。1989年からは職員が常駐。今回の豪雨の大部分は、グリーンランド南東の沿岸部からサミットステーションにかけての一帯で観測された。

米国立科学財団のジェニファー・マーサー氏は、豪雨の影響でサミットステーションの運営も変更する必要が生じると述べ、「同ステーションの運営史上、経験したことのない気象現象を考慮する必要がある」と説明。「氷の融解、強風、そして今回の雨といった気象現象が、過去10年の間に平常とみなされる範囲を越えて発生している」「その発生頻度は増す一方のようだ」と話している。


 CNNの報道によると『米国立雪氷データセンターによると、降雨量は1950年に記録を取り始めて以来、最も多く、・・・』ということですが、これはどこの降雨なのか明確には書かれていません。記述では過去にも降雨があり、その中で最も多いというのですから、どうも今回の標高3000mの場所そのものではないようです。また降雨を観測し始めたのは70年ほど前だということも分かります。
 さらに読み進めると『米国立科学財団のサミットステーションは、グリーンランドの氷床で最も標高が高い場所にあり、ここを拠点として北極圏の天候や氷の変化を観測している。1989年からは職員が常駐。』ということですから、正確には1989年以降初めて降雨を観測したというのが事実のようです。

 

No.1360(2021/08/24) 「温暖化の虚像」8月22日版の公開について

 ホームページ上で公開しています「温暖化の虚像」について、誤植がありましたので、おしらせします。訂正版を公開しておりますので、お手数ですが再度ダウンロードしてください。尚、併せて訂正箇所を正誤表として公開していますので、ご確認ください。

 

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