No.1335(2020/12/28) 非科学的で無意味な温暖化対策が繰り返される3
CO2温暖化対策による経済効果が190兆円という意味を考える

 12月25日に政府が脱炭素社会実現のための「グリーン成長戦略」を発表しました。これを報道した新聞記事を紹介します。

 まず、全体としての意味を考えます。政府の試算では、2050年にはこの成長戦略によって年間190兆円の新規の市場拡大となるとしています。これは、グリーン成長戦略によって、工業生産規模がそれだけ肥大化することを意味しています。
 現在の工業生産額は300兆円程度です。したがって、2050年までにグリーン成長戦略によって工業生産額が概ね1.63倍に拡大するということです。したがって、工業生産のために消費する鉱物資源量や化石燃料も1.63倍程度に拡大することを意味します。同時に、これは工業生産からの廃棄物量も1.63倍程度になることを意味します。これで一体どうしてCO2放出量が減らせるというのでしょうか?

 グリーン成長戦略の要となる技術は、現在の化石燃料によるエネルギー供給システムを化石燃料を消費しないで実現することです。
 しかし、現在の再生可能エネルギー発電技術、就中グリーン成長戦略のエネルギー技術の中核とされる洋上風力発電は、つい最近「福島洋上風力コンソーシアム事業」の破綻で触れたとおり、火力発電よりもはるかに大量の化石燃料を消費するだけでなく、莫大な鉱物資源を必要とすることが明らかになっています。この点については「温暖化の虚像」第6章で取り上げている「福島洋上風力コンソーシアム事業」において詳細に検討している通りです。
 再生可能エネルギー以外の技術は、化石燃料を消費しない電力が供給可能であることを前提にした技術ばかりです。したがって、再生可能エネルギー発電が火力発電以上に化石燃料を大量消費しているため、正に砂上の楼閣でしかありません。

 例えば自動車の電動化では、電気自動車は現状の火力発電電力を使用したとしても、総合性能ではガソリン車以上に化石燃料を消費します。これを再生可能エネルギー発電電力を使用すれば、現在以上に化石燃料を消費することになるということです。
 燃料電池車は、全く話になりません。水素を電気分解で製造すれば電気自動車よりもはるかに低効率であることは当然です。
 オーストラリアの低品質の石炭である褐炭を改質して水素を生産するという事業計画もあるようですが、褐炭改質によって水素製造を行えば、副産物として当然CO2が生成するため、CO2削減にはなりません。
 さらに、ハイブリッド車の燃料はあくまでもガソリンないし軽油ですから、本質的にガソリン車と何ら変わりません。ハイブリッド車が良くてガソリン車がダメという合理的な理由はありません。自然科学的には支離滅裂な政策です。

 CO2放出量削減のためのCO2の固定化技術などというものは全く話になりません。CO2を固定化するためにどれだけ追加の化石燃料消費が増加するのか、よく考えていただきたいものです。また、エネルギーへの再資源化などというものはエントロピー増大測から失敗は必定です。

 このようにグリーン成長戦略は、非効率的な産業分野ばかりなので、確かに工業生産規模を肥大化させ、名目の工業生産額を増大させます。しかし、それによって消費者の受ける便益が増えるわけではなく、むしろ現在と同レベルのサービスを享受するために余計な費用負担が発生するだけなのです。考えてみてください、ガソリン自動車がなくなるため、庶民でさえハイブリッド車や電気自動車を購入するしかなくなるというのです。
 もちろん、「人為的CO2地球温暖化」は虚像に過ぎませんから、CO2放出量が増加しても一向にかまいませんが、グリーン成長戦略の実施によって膨大な有用鉱物資源や化石燃料が浪費され、消費者負担が増加し、大企業がぼろ儲けするなどということは、断じて許されないと考えます。

 

No.1334(2020/12/23) Planet of the Humansが削除されてしまった!
権力や大企業にとって都合の良い発言だけに許される言論の自由の実体

 このHPで紹介したマイケル・ムーアのプロデュースによるビデオ「Planet of the Humans」をもう一度見ようとアクセスしたところ、閲覧できなくなっていました

 ネット上で情報を探すと、「Michael Moore film Planet of the Humans removed from YouTube.」という評論を見つけました。一部抜粋・自動翻訳した文章を紹介します。


Planet of theHumansのディレクターであるJeffGibbsは、問題を解決し、できるだけ早く映画をバックアップするためにYouTubeと協力していると述べました。

彼は声明の中で次のように述べています。「私たちの映画を削除し、一般の人々に見られないようにするこの試みは、Planet of theHumansの政治批評家による露骨な検閲行為です。環境運動の一部がウォール街やいわゆる「グリーンキャピタリスト」とどのようにベッドに入ったかについて真剣な会話を開いた映画を閉鎖することは、著作権法の誤用です。私の映画には著作権侵害はまったくありません。これは、言論の自由の権利を破壊しようとする映画の反対者によるもう1つの試みです。


 どうもビデオに使われた画像データに著作権侵害の疑いがあるというのが直接の公開差し止め理由のようですが、これは口実であり、ビデオに紹介された内容が不都合な権力組織による圧力と考えるのが妥当でしょう。
 このHPについてもアクセス妨害があることを紹介してきましたが、中国や北朝鮮に限らず、米国をはじめとする先進国、勿論わが日本を含めて、権力や大企業にとって都合の悪い情報は弾圧されることを如実に示しています。今回の事例は、なかなか良い、生きた教材だと考えます。

 

No.1333(2020/12/21) 拝啓、気象庁気象研究所様
人為的CO2地球温暖化説は、いまだに正しいとお考えですか?

 アクセス解析を見ていたら、fw01.mri-jma.go.jp という懐かしいホスト名を見つけました。ご無沙汰しております、気象庁気象研究所様。おそらく「温暖化の虚像」に関連する記事をご覧になるために立ち寄られたものと思います。前著「検証温暖化」も含めて、ご意見をお聞かせくだされば幸甚です。

No.1332(2020/12/16) 非科学的で無意味な温暖化対策が繰り返される2
洋上風力発電失敗の検証作業もせぬまま繰り返される無謀な風力発電導入

 前回、福島洋上風力コンソーシアム事業という浮体構造の風力発電のパイロットプラント事業が大失敗に終わったことを報告しましたが、日本政府はこれに何も学ばず、検証作業も行わないまま大規模な洋上風力発電目標をぶち上げました。まずは新聞報道を紹介します。

 この内容を見ると、まさに大失敗した福島洋上風力コンソーシアム事業と同じお題目で洋上風力の導入を目指していることがわかります。

 具体的には、陸上に比べて洋上の方が風況が良いため、安定した発電が行えるから洋上風力を目指すというものです。
 しかしこの点については、多少の風況の改善に比較して、洋上風力発電の建設コストの上昇、つまり建設のために必要な資源・工業的エネルギー消費の激増を考えれば、まったく経済的にもまた発電効率からも陸上風力に及ばないことが福島洋上風力コンソーシアム事業によって既に実証されています。
 さらに、塩分を含んだ潮風に曝される洋上風力発電では設備の劣化が激しいためメンテナンスコストが跳ね上がり、耐用年数も短くなるため、風況によるメリットなど全くないに等しいと考えるのが合理的です。
 次に、技術開発目標として、火力発電の発電コストを下回ることを目指していることもまったく非科学的なものです。化石燃料消費をゼロにすることが目標である再生可能エネルギー発電が目指すべきことは、再生可能エネルギー発電によるエネルギー供給が拡大再生産を実現することでなければなりません。いくら火力発電よりもコストが安くなったとしても、風力発電システムを維持管理再生産するために投入するエネルギーを確実に上回らない限り、化石燃料消費をゼロにすることなど科学的に不可能であることが理解されていないようです。
 着底式はともかく、浮体式については福島洋上風力コンソーシアム事業のよって実現の可能性がないことは既に結果が出ています。

 現在、陸上風力発電を拡大するためにさえ、電力価格に再生可能エネルギー導入促進賦課金が上乗せされ、毎年賦課金率が上昇しているのですから、着底式といえども陸上風力よりもはるかに高コストの洋上風力発電で火力発電の発電コストを下回ることなど不可能です。馬鹿に付ける薬はないものでしょうか?

 再生可能エネルギー発電の問題点については「温暖化の虚像」第5章をご覧ください。福島洋上風力コンソーシアム事業については同じく第6章3節をご覧ください。

 

No.1331(2020/12/13) 非科学的で無意味な温暖化対策が繰り返される
鳴り物入りで開始された国家プロジェクト福島沖浮体式風力発電の完全なる破綻

 このところの菅政権の非科学的な無能ぶりにはほとほとあきれ果てています。コロナ感染症対応において、菅肝入りの経済政策であるGoToトラベルに固執した結果、一旦沈静化したかに見えた感染拡大が一気に日本全土に再び拡散してしまったことは明らかです。この問題についてはわざわざここでこれ以上言及する必要もないでしょう。

 もう一つの菅内閣の目玉政策である2050年CO2放出ゼロ化という全く科学・技術的に実現の可能性のないに目標に向けた馬鹿げた話題が目白押しです。
 まずは、すでに「温暖化の虚像」第6章で取り上げている「福島洋上風力コンソーシアム事業」という福島復興・温暖化対策事業という錦の御旗の下に経済性を度外視した大盤振る舞いで進められていた、再生可能エネルギー発電の中核技術となるはずの洋上風力発電のパイロットプラントが採算が取れないとして完全に破綻したことが明らかになりました。
 この事業に参加しているのは、東大、丸紅、三菱など、国内のそうそうたる産学の巨大組織です。事業自体は行う前から経済的な破綻は明らかに予測出来ていたはずです。東大や参加企業は経済性度外視の国家予算を食い物にするために群がっただけのことです。
 プロジェクトが失敗したにもかかわらず、参加企業は更に施設撤去のために50億円もの金儲けができるというのですから、笑いが止まらないでしょう。国家の無能な役人どもはいつになったら目を覚ますのでしょうか?
 今回の破綻は、600億円という高い授業料を支払って、日本の最高頭脳とトップ企業が参画した上で洋上風力発電ないし風力発電は化石燃料を使った火力発電の代替として経済的に自立できない=技術として成立しないことが再確認されたわけですから、最早導入を断念すべきだと考えます。

 さて同じ新聞に、「究極のエコ」としてトヨタの燃料電池車の新型車の発表が報道されていました。燃料電池車については、既にこのホームページの「燃料電池は低効率のエネルギー供給技術」で詳細に検討した通りです。つまり燃料電池車は電動自動車の中でも最も資源・エネルギー利用効率の低い劣悪な技術です。こんなものを本気で普及させようなどと考えているのは、世界でも日本政府だけでしょう。まともな科学的の評価のできない愚かな日本のマスコミにはあきれ果てるばかりです。

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