No.1426(2022/09/24) 環境問題・資本主義・自由貿易・ウクライナO
環境問題がなぜ起こるのかD

3−4 現在の特徴的な環境問題

(1) 地表面環境の乾燥化

 一つは、古代文明が滅亡したのと同様な農地の大規模開発による森林破壊による物質循環、大気・水循環の破壊による砂漠化です。前回見たように世界人口はいまだに爆発的な増加を示しており、食糧増産は不可避的な状況です。
 工業化された農業では、ダム建設などの直接的な水循環の改変や地下水のくみ上げによる灌漑農法が広域で実施されています。地下水はやがて枯渇する有限の資源であり、高効率=栄養収奪的な農業を支えるために大量の化学肥料や土壌改良剤の使用と相まって、限界的な農地の塩害による乾燥化・砂漠化が進行しています。
 農地の砂漠化は工業文明においても最大の環境問題です。

 工業文明では農地以外でも都市化による地表面環境の乾燥化が進んでいます。都市や住宅地では交通手段の利便性のために地表面が舗装され、降雨は速やかに環境から隔離された暗渠化された河川や広域下水道に流し込まれます。植生の貧弱な都市や住宅地ですが、更に地表水を失うことで乾燥化が進行しています。

 上図に平均的な地球の表面環境の熱収支を示します。地表面は水の蒸発によって冷やされています。341.5W/m2100とした場合、蒸発による放熱量は23(78.5W/m2)です。

 都市化され表面舗装された環境では、地表面からの水の蒸発潜熱による冷却効果が失われることになります。 

 例えば、都市化され舗装された地表面からの水の蒸発量が上図に示すように23から12に減少し、それに代わって地表面放射が125に増加すると仮定します。この場合、地球の平均的な環境では地表面温度≒気温が7℃程度上昇することになります。
 この種の都市部における異常気温上昇に対する対策は明快です。巨大都市を解体して、人・モノの分散化を図り、表面舗装を撤去して生きた土壌を復活させることです。
 
 現在、人為的CO2地球温暖化という非科学的な主張が世界に蔓延しています。工業文明によって、都市人口が増加しているため、多くの人たちが感じている気温上昇とは、ここに示した都市の乾燥化によって水の蒸発潜熱による冷却能力が低下したことによる気温上昇です。大気中の人為的なCO2濃度の上昇とは無関係です。

(2) 都市部における工業エネルギーの集中的な消費

 例えば、日本の巨大都市では、地表面積1平方メートル当たり平均28Wほどの工業的なエネルギーを消費しています。341.5W/m2100とした場合8に相当します。この場合、地球の平均的な環境では地表面温度≒気温が5℃程度上昇することになります。

 下の写真は地球の夜半球を撮影したものです。白く見えるのは人工照明です。照明の密度の高さは都市化の程度を表すと考えられます。都市では乾燥化による表面温度上昇だけでなく、大量の人工的なエネルギー消費が行われています。

 写真を見ると、特に北半球のアメリカ東部、ヨーロッパ大陸の西海岸側、および日本を含めたアジア大陸東海岸部などに光点が集中しています。こうした場所では地表面環境の乾燥化と人工エネルギーの集中的な消費によって局所的に地表面温度が上昇しています。これらの場所では上昇気流が強まり、大気水循環に擾乱を与えていると考えられます。
 例えば、近年日本でよくみられるゲリラ豪雨は都市の異常高温化が原因です。世界中の都市化の進んだ地域に遍在する大気水循環の擾乱が、地球の大気大循環に乱れを与え、地球規模の異常気象に繋がっている蓋然性は極めて高いと考えられます。

(3) 温暖化防止対策・脱炭素化による環境問題

 これは最も愚かな環境問題と言ってよいでしょう。なぜなら、人為的CO2地球温暖化という幻影におびえて、本来まったく必要でない対策を行うことによって引き起こされている環境問題だからです。

 人為的CO2地球温暖化脅威論が登場して以来、二酸化炭素CO2が汚染物質であり環境問題の元凶であるかのような馬鹿げた宗教的思想が蔓延しています。
 地球上のあらゆる生命体は炭素を骨格とする体組織を持っています。つまり、炭素は地球生態系にとって必要不可欠な物質です。
 生態系の豊かさを決定づけている地球生態系の第一生産者である光合成生物にとって、大気中のCO2は決定的に重要な資源であり、現在の大気中CO2濃度は光合成生物にとっては希薄すぎる状態です。施設園芸農家では、作物の生育を促進するために、例えば灯油を燃やして施設内を加温すると同時に、燃焼によって発生するCO2で施設内のCO2濃度を高くしています。

 CO2が環境汚染物質であるという妄想から、ゴミ問題が悪化しています。既に述べてきたように、工業生産からの廃物のうち、CO2は地球生態系の中で処理可能な有用資源です。ところが、温暖化対策あるいは脱炭素化という愚かな妄想から、人間社会から発生する廃物の大きな部分を占めているプラスチックゴミの焼却処分が忌避されています。
 その結果、膨大なプラスチックごみは一部は申し訳程度にリサイクルされるものの大半は環境中に廃棄処分されることになります。その結果、適切に管理されない投棄プラスチックは、環境中で劣化し、粉砕されマイクロプラスチックとなり海洋に流れ込み、海棲生物に悪影響を与えています。

 最も愚かな対応が社会の脱炭素化として、人間社会から化石燃料を排除するという無謀な政策がとられようとしています。
 工業文明とは化石燃料の優れた能力があるからこそ成立した文明です。化石燃料の排除とは工業文明を放棄することと同義ですが、そこが理解されていません。これは有限の資源である化石燃料に支えられている工業文明は永続できないことから、長期的な人間社会の生存戦略として正しい判断ですが、しかるべき脱工業文明の段階を周到に準備しなければ実現できることではありません。

 現在の「脱炭素化」政策の本質的な誤りは、化石燃料以外で工業文明を支えることのできる無限のエネルギー供給技術が実現可能であるという、自然科学的に何の根拠もない妄想を前提として組み立てられていることです。その結果、「単に」エネルギー供給源を化石燃料からその他へ転換すれば可能なのだという安直な発想なのです。それは「SDGs」に象徴的に表れています。

 その石油代替エネルギーの中核と目されているのが太陽光発電や風力発電です。こうした環境中に不偏的に存在する自然エネルギーはエネルギー密度が小さいため、それを補足するためには巨大な装置システムが必要になります。
 例えば、300kWの内燃機関発電装置の重量は6t 程度です。それに対して、陸上風力発電では平均出力300kWを得るためには300t 程度の施設が必要です。更に激しく変動する風力発電の出力を需要に同期させるためには巨大な蓄電システムや広域の高規格送電線網、バックアップ用の火力発電所が必要です。
 その結果、再生可能エネルギーの導入によって工業生産規模が爆発的に肥大化することになります。同時にこれらのシステムを製造・維持・管理するために化石燃料消費は大幅に増加することになります。
 例えば、現在の日本の最終エネルギー消費を熱量ベースで太陽光発電で賄うとすれば、日本の国土面積の12%程度を太陽光発電所にすることが必要です。風力発電では、2MW級(主塔の高さが100m程度)の風力発電が全国土に500m四方に1基の密度で林立することになります。
 もし本気で再生可能エネルギーを導入することになれば、日本の国土は深刻な環境破壊に晒されることになります。

 さすがに再生可能エネルギーの愚かさに気付き始めた国は、一旦は放棄する方向に進んでいた原子力発電を新たに推進することに政策転換しました。しかし、原子力発電もまた化石燃料の消費なしには実現できないシステムです。

 また、ウラン自体有限の地下資源です。可採年数を見ると石炭よりもはるかに短いことがわかります。可採年数とは、確認埋蔵量をその年の消費量で割った値です。原子力発電を行う国はごく限られていることを考えれば、エネルギー供給量は化石燃料よりも圧倒的に小さいことがわかります。
 化石燃料やウランの枯渇したはるか未来まで数万年に及ぶ高レベル放射性廃棄物の管理という環境リスクを負うことは愚かとしか言いようがありません。 

 

Copyright (C) 2013 環境問題を考える All Rights Reserved.