解題「温暖化の虚像」⑱

CO2温暖化対策が環境・社会を破壊する⑥

再生可能エネルギー発電はCO2放出量を増加させる
 さて、前回はエネルギー供給技術としての原子力について考察しました。今回は、菅政権のCO2温暖化対策の基幹技術とされている再生可能エネルギー発電について考察します。

 既に「工業生産の本質」「電力生産の理論」で触れたように

再生エネルギー発電のエネルギー産出比<0.35≪1.0

でした。つまり、原子力発電同様、再生可能エネルギー発電は単独では工業生産に対して利用可能なエネルギーを全く供給することができません。つまり、再生可能エネルギー発電工業化社会は実現不可能です。
 それどころか、現在の化石燃料によるエネルギー供給システムを前提としても、発電サブシステムとして火力発電よりも大量に化石燃料を消費するため全く利用価値がありません。前回示したエネルギー産出比による評価で言えば、

③エネルギー産出比≦0.35
 全く利用する合理性はなく、化石燃料を浪費するだけ。

に該当するため、全く無意味な技術です。

再生可能エネルギーの工業的利用の致命的な欠点
 再生可能エネルギーは、「工業を支えるエネルギー資源の条件」

①天然資源であること。
②低エントロピー状態で適度にエネルギー密度が高いこと。
③量が豊富であること。


の内、①天然資源であること、③量が豊富であることの二つの条件を満足しています。しかし、②低エントロピー状態で適度にエネルギー密度が高いことという条件を満たすことができません。この点について少し詳しく見ておきます。

 再生可能エネルギーとは究極的には、太陽放射と惑星としての地球の運動エネルギーです。具体的には太陽放射、風力、水の運動エネルギー・位置エネルギーなどです。
 放射エネルギーや力学的なエネルギーにはそもそもエントロピーは定義できません。言うなればエントロピーゼロのエネルギーです。したがって、再生可能エネルギーは低エントロピー状態のエネルギーです。
 つまり、再生可能エネルギーのエネルギー密度が希薄であることこそが決定的な欠点だということです。更に再生可能エネルギー固有の問題として、時間に対する不規則変動が大きく、制御不能であることが挙げられます。

 再生可能エネルギー密度が希薄なために、必然的に単位発電電力量当たりの発電装置規模は巨大なものになります。
 加えて、再生可能エネルギーの出力変動幅が大きいために、発電設備利用率が極めて低くなります。例えば、風力発電の設備利用率は15%程度ですから、2MW出力の風力発電装置の実際の平均出力はその15%の0.3MWに過ぎないのです。これによって発電装置規模は更に巨大なものになります。
 そればかりではなく、発電出力変動は「風まかせ、天気まかせ」で予測不能・制御不能です。再生可能エネルギー発電電力を高度に制御された電力供給システムに接続するためには、巨大な電力のバッファー装置や、全国土を網羅する高規格大容量の送電線網の整備などが必要になります。これは原子力に対しても決定的に劣る欠陥です。
 その結果、短期的(核廃棄物管理のための費用などを除く場合)には、再生可能エネルギー発電は原子力発電よりもはるかに高コストの発電方式になり、それだけ大量の工業製品と化石燃料を消費することになるのです。

 例えば、日本海側の広範囲の地域が寒波による暴風雪に見舞われた場合、当該の広範囲の地域の太陽光発電、風力発電が全く機能しなくなる可能性があります。あるいは日本全土が梅雨の長雨に見舞われた場合、太陽光発電出力は激減します。
 このような広範囲に及ぶ再生可能エネルギー発電の出力低下が起こる場合に対して、高規格の送電線網による電力の地域を超えた融通は意味をなさなくなります。また、長期間に及べば蓄電装置の容量不足も起こります。
 結局、大規模に再生可能エネルギー発電を導入したとしても、導入再生可能エネルギー発電設備と同容量のバックアップ用の火力発電施設を常に稼働可能な状態に維持・管理し、化石燃料を備蓄しておかなくてはならないのです。つまり、再生可能エネルギー発電を導入しても火力発電施設を削減することは出来ないのです。
 冷静に考えれば、火力発電よりもエネルギー産出比の低い再生可能エネルギー発電を全廃して、火力発電だけで運用することが最良の選択であることは明白です。

 以上から、再生可能エネルギーは工業生産に対して利用可能なエネルギーを一切供給できない無意味なエネルギーであり、原子力同様、一次エネルギーではありません。
 これは、原子力と再生可能エネルギーの利用を止めることによって、それだけで現在の化石燃料消費量を削減できることを意味しています。

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