PTAは高校のマネーロンダリング装置

県立高校に納める費用のまとめ

県立高校において就学するために高校ないし大分県に直接支払わなくてはならない必須の金員は入学金と授業料の2費目のみです。

現状の日本の教育環境においては、前記の必須の費用の他に、生徒ないし保護者が負担しなければならない費用には、教科書代、教材費、その他学校教育に必要で生徒個人の所有となる物品に対する費用があります。これらは、県立高校や大分県に支払う費用ではなく、生徒ないし保護者がこれらの物品の購入に支払う費用です。

その他に、学校教育のために必須と言えるかどうかには疑問が残りますが、修学旅行代、卒業アルバム代などが生徒ないし保護者の負担とされています。

以上の費用は、多少問題があるものの、理解は出来るものです。しかし現在の大分県の県立高校では、そして全国の多くの公立高校では不法な方法で保護者ないしPTA会員から様々な名目で金員が徴収されています。代表的なものを以下に示します。

分類

費目

徴収主体

徴収事務

支払義務

備考

学校関係団体費

PTA会費

PTA

高校

PTA会員のみ
体育文化振興会費

体育文化振興会

体育文化振興会員のみ

学校援助的経費

特別指導費

PTA

空調電気代

PTA

朝・土曜講座代

PTA

学校取扱金

高体連会費

高校

高文連会費

高校

学校関係団体費=PTA会費・体育文化振興会費は、適切な加入手続きを経たPTA会員あるいは体育文化振興会会員から徴収するのは正当です。

しかしながら、現在の大分県の県立高校におけるPTA会員、体育文化振興会会員の自動加入=強制加入手続きは消費者契約法に違反するもので無効です。また、PTA、体育文化振興会は任意団体なのでいつでも退会することが出来ます。

PTAが会費以外に徴収する費目は学校援助的経費と呼ばれ、学校の運営経費を補填するために使われています。学校教育法において、学校の運営経費は、本来、県立高校の設置者である大分県が支弁するものであって、保護者に転嫁してはならない費目です。また、地方財政法から、県立高校の運営経費に使う目的でこれを割り当てて強制的に徴収することは禁止されています。従って、学校援助的経費がPTAによって予算化され、PTA総会で承認されたとしても、これをPTA会員に割り当てて強制的に徴収することは不法であり、PTA会員には支払う義務はありません。あくまでも自由意志で支払いたいPTA会員が支払えばよいのです。

高体連会費、高文連会費は保護者に支払義務はなく、高体連・高文連の意義に賛同して自由意志で支払いたい保護者が支払えばよいものです。

私は、大分県と県立高校に抗議する意味で、表に示した費目すべての支払を拒否していますが、県立高校、大分県教育庁からは一切の支払いの督促はありません。

 

県立高校・PTA会計の問題点

PTAの組織運営及び学校援助的経費の徴収と予算執行は出鱈目と言わなければなりません。

本来、PTAは社会教育法において社会教育関係団体に分類される県立高校とは独立の任意団体です。PTAの運営に対して、地方公共団体=県立高校管理職・教職員が統制的支配や干渉することは、社会教育法に違反する行為です。

大分県のPTAでは県立高校の校長をはじめとする管理職がPTAの重要な役員ポストを兼務しています。しかも、PTA副会長に就いた校長は、PTAの会計の全権を委任されています。実質的にPTAは県立高校の統制下にあります。PTA会費、体育文化振興会費、学校援助的経費の全ての徴収、そして予算の執行権を県立高校の校長が持っており、校長のもとで高校が事務処理を行っています。

体育文化振興会は実質的にPTAと同一組織ですので、体育文化振興会費もPTA会計に含めて論じることにします。

PTAの会計の内、PTAの事業経費に使われるのはPTA会費だけです。体育文化振興会費、学校援助的経費(特別指導費、空調電気代、朝講座・土曜講座代)は全て県立高校ないし部活動の運営経費として使われます。

これらの予算は、実際に県立高校の運営に携わっている校長・教頭・事務長など県立高校管理職であるPTA役員の主導によって編成されています。しかも、PTAの会計の事務処理の一切は執行権を持つPTA副会長である校長を介して県立高校に丸投げされています。

つまり、体育文化振興会費、学校援助的経費は、その予算編成から徴収、執行の全てを校長ないし県立高校が行っています。本来ならばPTAを介在させる必然性は存在しません。

これらの費目を敢えてPTAの会計という形をとる意味は、学校教育法や地方財政法上、県立高校が入学金・授業料以外の費目で県立高校の運営経費を生徒ないし保護者に転嫁することが難しいため、「形式的」に県立高校とは独立の任意団体であるPTAという組織の名義を使って金の流れを迂回させて『マネーロンダリング』を行うためです。

つまり、PTAとは県立高校の保護者に対する不当な資金徴収のためのトンネルあるいはダミー組織であり、県立高校の集金装置なのです。

現在、高校が私から不法に徴収した学校援助的経費などの返還を求めています。また、上級庁である大分県教育庁に対して、高校に対して返還に応じるように指導するように求めています。

大分県教育庁高校教育課からの回答を次に示しておきます。

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実にご都合主義の回答です。PTAの学校援助的経費などの判断は、実質的にはPTAの予算執行権をもち、学校援助的経費等について主導的に予算編成に携わっている校長をはじめとする県立高校の判断そのものです。このように、PTA・県立高校・大分県教育庁が一体となって責任の所在をあいまいにして保護者を騙し、不正を行っているのです。規範意識の欠落した彼らには自浄能力は期待できないようです。

大分県の県立高校における教育・PTAの諸問題

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PTAは高校のマネーロンダリング装置 への1件のコメント

  1. 岩本正也 のコメント:

    熊本の岩本です。これまで2度ほどメールを差し上げたことがあります。

    本日は、熊本県立学校PTAの実態をお伝えします。多くは近藤さんがHPで伝えておられる大分県の状況と変わりません。

    PTAの問題点は、近藤さんが書かれているように、本来、県が負担すべきところを保護者に負担させるためのマネーロンダリング装置になってしまっているという点があると思います。大分と同じように、校長や事務長(PTA内での役職の位置づけが無いのが大部分だと思います)が、予算を組んだり執行したりする際の実質的な司令塔になっています。その他にも、全員自動加入と自動的会費負担が生じるという点も全く同様です。何とかしなければならないという点も同様です。

    ところが、熊本の場合、大分と違う,しかも大きく違う点があります。それは、多くの県立学校にPTA(育友会という呼称の学校もあります。)費で雇用される職員が居ることです。熊本ではこれらの職員を団体費雇用職員(以下、単に「職員」という)と呼んでいます。全員女性です。

    1学校当たり1人~2人ですが、大規模校では3人というところもあります。小規模校では0人となっているようです。

    事務室で保護者からの徴収金会計(団体費会計)事務を担当したり、進路指導室で資料整理や来客対応その他の事務を担当したり、職員室で印刷業務を担当したりしています。

    事務室の職員は、団体費会計業務のみならず、事務室に居るということから来客対応や電話対応その他本来県費事務職員(以下、単に「事務職員」という。)がやるべき業務も行っています。進路指導室や職員室の業務は、全て本来は県費の教員等がやるべき業務です。
    また、職員は、学校の校務分掌のなかで、事務部、進路指導部、教務部に位置づけられています。

    形式的雇用主であるPTAは、職員の指揮命令権を校長に委任するという形を取っていますから、職員は他の教職員同様に、校長(事務長)の指揮下におり、日々、校長や事務長の指示で動くことを義務づけられています。

    従って、外部から見ると、職員は県費の教職員と区別できませんから、「公務員」と間違われることが多いのです。実際、PTA役員になって初めて、職員の存在を知り驚く方々も多く居ます。

    待遇は、時間給、日給、月給など、学校によって様々ですが、会費から支出されるため、概ね低賃金(超低賃金といっても良いくらい)です。古くからの職員は期間を定めずに雇用されていますが、大部分の職員は1年間の有期雇用で、その更新を繰り返しています。

    彼女たちは、団体費雇用職員労働組合を結成(組織率約20%)し、長年の取り組みで、年次有給休暇とか厚生年金保険・健康保険加入等あるいは雇用の安定を実現してきています。

    これらの職員は、本来、県が雇用すべき存在なので、1970年頃までは、当時の高教組運動によって、彼女たちの一部を県費雇用に移管させてきた経緯があります。しかし、その後は、全くできておりません。

    また、生徒数が減少したり、PTAや体育文化振興会費、後援会等の加入者が減少(脱退)すれば、彼女たちの賃金原資が減少することになり、たちどころに雇用不安が生じます。そういう意味に於いて、職員の存在は「矛盾の塊」だと私は思っています。

    ところで、熊本では、昔は、事務職員が団体費会計事務に関わっていたようですが、今は、少なくとも勤務時間中はやっておりません。どうしても勤務時間中に関わらなければならないときには,「職務専念義務免除」の手続をして、行うようになっているそうです。
    それは、PTAというのは任意団体(社会教育上の)であり、県の本来業務とはならないという建前があるからです。

    この点で,大分は、誰がPTA会計事務をやっているのか、仮に県費の事務職員がやっているとすれば、校長や県教委はどのように整理しているのかが気になるところです。

    以上、とりとめもなく書いてしまいました。
    今の私は、「矛盾の塊」である彼女たちに寄り添いつつ、PTA問題を考えていこうと思っているところです。

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