解題「温暖化の虚像」③

大気中CO2濃度の上昇の主因は自然現象②

人為的CO2蓄積モデルは静的モデル
 前回見たように、人為的CO2蓄積モデルは、近年観測されている大気中のCO2濃度の上昇を、入力としての海洋・地表面からのCO2放出qinと出力としての海洋・地表面のCO2吸収量qoutの差が、ある有限の着目期間⊿tの間に蓄積していると解釈しています。着目期間の大気中のCO2量Qの変化量⊿Qとすると、
⊿Q = (qin – qout)×⊿t
と表されるということです。ポイントは、有限の着目期間を未来永劫続くとしていることです。その意味で時間経過に対する状況の変化を考慮していない「静的なモデル」なのです。
 この静的なモデルを用いて大気中のCO2量Qを表すと、
Q(t) = Q0 + (qin – qout)×t
ここに、Q0は初期値、tを経過時間とします。
 人為的CO2蓄積モデルでは、qinとqoutの間に何の関係も示しておらず、独立に自由な値をとることができます。したがって、このモデルの定常状態とは、たまたま偶然にqin = qoutだったということにならざるを得ません。

大気中のCO2を起源によって区別するご都合主義
 人為的CO2蓄積モデルでは更に特異な設定を行っています。海洋・地表面からの入力であるqinを人為的な部分とそれ以外の「自然起源」に分けて考えています。人為的な部分には上添字H、自然起源の部分には上添字Nを付して表します。つまり、
qin = qinH + qinN
 人為的CO2蓄積モデルでは、大気中に放出されたqinH と qinN、そしてもともと大気中に存在しているQに対して、それぞれ全く異なる挙動を許しています。実際には、大気中にCO2が放出されると同時に、もともと大気中にあったCO2と混合するため、qinH 、 qinN、Qを区別することは出来なくなります。人為的CO2蓄積モデルは、現実の自然現象を無視した数式を玩ぶだけの形而上学的な議論です。その具体的な内容を以下に示します。
 人為的CO2蓄積モデルでは、海洋・地表面からの自然起源のCO2放出qinNがいくら変動しても、海洋・地表面は常に100%吸収するために、大気中には一切蓄積されないから大気中のCO2量Qは不変であると考えています。これは一見合理的に見えるかもしれませんが、自然現象としてはあり得ません。
 「温暖化の虚像」2-5節「高校化学で考える化学平衡と大気中CO2濃度」(p.30)で触れたCO2の水への溶解という可逆反応で示したように、気温上昇による海洋・地表面からのCO2放出量qinNの増加は、大気中のCO2濃度を増加させる新たな化学平衡状態への遷移を起こします。平衡状態ではqinNは勿論、完全に海洋・地表面に吸収されています。人為的CO2蓄積モデルは、化学の基礎的な現象さえ満足していない出鱈目なモデルです。さらに言えば、産業革命以前の大気中CO2濃度の変動を説明することができません。
 
 話を進めます。人為的CO2蓄積モデルではqinNは大気中CO2濃度に変化を与えず、人為的に放出されたqinHに対する海洋・地表面の吸収率をr = 0.5として、qinHのうち(1 – r) = 0.5 だけが大気中に蓄積すると考えます。つまり、
(qin – qout) = qinH×(1 – r) =0.5×qinH
したがって、
Q(t) = Q0 + (qin – qout)×t = Q0 + 0.5×qinH×t
 前回紹介した「地球温暖化懐疑論批判」議論18の彼らのモデルは、上式の右辺第二項を一年ごとの離散的な表現で書き表したものです。人為的CO2蓄積モデルでは、ほんの少しでも「有限の人為的なCO2放出がある限り大気中CO2濃度は際限なく上昇を続ける=発散する」という自然現象としてはあり得ない主張を導くのです。また、なぜ人為的な放出qinHに対する吸収率rは0.5なのでしょうか?
 さらに、もともと大気中にあったCO2量Q0については、海洋・地表面は一切吸収しないと考えています。出鱈目という以外にありません。

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