解題「温暖化の虚像」⑧

大気中CO2濃度の上昇は気温を低下させる②

気温変動の結果としてCO2濃度が変化する
 前回示したように、温室効果の内、地表面放射を吸収する局面ではCO2の寄与は大きめに見積もったとしても5%未満であり、更に人為的な影響に限れば0.15%未満、ほとんど誤差の範囲であり、温度計で観測できるような気温変動をもたらすことはありません。
 一方、気温の変動が大気中のCO2濃度やCH4濃度を変動させています。例えば、ここ80万年程度の期間の気温とCO2、CH4の大気中濃度との関係は南極のアイスコアの成分分析から示されています。

南極Dome C におけるアイスコア分析

 上図は、上から気温、CO2濃度、CH4濃度、塵について約80万年間の変動を示しています(右端が西暦1950年であり、これを基準年とした時間軸)。
 この気温に同期するCO2濃度、CH4濃度の変動は、気温変動によってもたらされたものです。これはCO2やCH4の海水への溶解反応が発熱反応であることから当然の結果です。

 ところが、人為的CO2地球温暖化説を唱える研究者によると産業革命以降については、それまでとは逆に、CO2濃度の変動が気温変動をもたらしていると言います。
 この点についてはこれまで検討してきたとおり、産業革命以降の大気中CO2濃度の変動の大部分についても、産業革命以前と同様に、自然変動であり、大気中CO2濃度に占める人為的なCO2放出の寄与は3%程度に過ぎません。したがって、産業革命以後に気温変動とCO2濃度変動の原因と結果が逆転するというドラスティックな変化が起こる必然性はありません。

 上図に示すように、近年の気温と大気中CO2濃度の変動の関係からも、気温変動の結果として大気中CO2濃度が変化していることは明らかです。


 対流圏下層大気による地表面放射の吸収は、主に水蒸気と雲によって賄われていると考えて差し支えありません。現状ではCO2やCH4濃度の変動は極めてマイナーな要素にすぎません。
 もちろん、気温上昇によって対流圏下層大気に含まれる赤外活性気体(主にH2O、CO2、CH4)濃度や雲量が増加することは間違いありません。しかしながら、それによる地表面放射の吸収量の増加はそれほど大きくなく、雲の増加は日傘効果によって気温を低下させる効果を持ちます。その結果、顕著な正のフィードバック効果をもたらすことはありません。
 また、正のフィードバック効果を持つとしても、その最大の要因は水蒸気濃度の上昇です。

 平均的な地球大気の気温を15℃、湿度を50%と仮定すると、H2Oの大気中濃度は次の通りです。

{12.8(g/m3)×50%/18(g/mol)}×22,400(ml/mol)=7,964ppm

気温が1℃上昇した時のH2Oの大気中濃度は次の通りです。

{13.6(g/m3)×50%/18(g/mol)}×22,400(ml/mol)=8,462ppm

気温が1℃上昇すると、H2Oの大気中濃度は498ppm増加することになります。実際には平均的な湿度も50%よりも高くなるため、もう少し増加量は多くなるでしょう。したがって、気温上昇に伴う主要な赤外活性気体の中で最大の濃度上昇を示す=最大の正のフィードバック効果を持つのはH2Oです。CO2の寄与は主要なものではないのです。
 気温の上昇に伴う多少の赤外活性気体濃度の上昇による正のフィードバック効果があるかもしれませんが、赤外活性気体濃度の上昇が原因となって観測できるような気温上昇がおこることは、現状では考えられません。

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